おきのえらぶサトウキビ産業シンポ

サトウキビ産業の未来について意見を出し合ったパネルディスカッション=知名町=

「砂糖+ワン産業」を
杉本氏提言 島の持続的成長考える

 【沖永良部】おきのえらぶサトウキビ産業シンポジウム(沖永良部さとうきび生産対策本部主催)が6日、知名町あしびの郷・ちなであった。基調講演したサトウキビコンサルタントの杉本明氏は「砂糖だけではなく砂糖+(プラス)ワンの産業を作って欲しい」と提言した。

 キビ産業と沖永良部島の経済の持続的成長について考えようと開催。会場には、島内のキビ農家らが多数詰めかけた。

 同対策本部の島元嗣本部長は「農家にとって明日からのキビ作りに希望が持てるようなシンポジウムになってほしい」とあいさつ。

 杉本氏は「サトウキビの昨日・今日・明日~沖永良部島型サトウキビ産業の創出に向かって~」と題して講演。沖永良部型サトウキビ産業の要点として▽製糖工場が食料生産、地域のエネルギー供給の拠点になる▽キビ生産で沖永良部島の自然・生産環境が向上する▽林業や花き・園芸・畜産業の振興、観光業等にも貢献する―の3項目を掲げた。さらに、日本や世界各国のキビ生産の状況を説明し「キビは、環境の悪い所で安定多収できないといけない。キビにとって南西諸島は適地ではない。収量を多くし、土地当たりの砂糖の量を増やし、利用技術を作ることで、現在の砂糖だけの産業から『砂糖+(プラス)ワン産業』に転換していくことが求められる」と述べた。

 東北大学名誉教授の石田秀輝氏は「ローカルが光輝くあたらしい未来を考える」をテーマに展望講演を行い、今年4月に開校した星槎大学サテライトカレッジや島内で活動する酔庵塾の取り組みなどについて紹介した。

 パネルディスカッションでは、石田氏をコーディネーターに、杉本氏、島本部長、南栄糖業(株)常務取締役の前田和義氏、両町の担当課長、JAあまみ知名・和泊両地区キビ部会長の7人がパネラーを務めた。登壇者からは「地力向上は永遠の課題。サトウキビは地中に多くの有機物を残す。トラッシュ率の高いキビを作ることで有機物を残せる」「沖永良部用に品種の改良が必要で、品種は各地域に向けたものでないといけない」「キビの本当の収穫適期は夏だということを押さえてほしい」などの意見が出た。