大島、9回突き放す!

【3回戦・大島―鹿児島玉龍】3回表大島無死満塁、4番・太月が左翼線二塁打を放ち、3―2と逆転。太月は3安打4打点の活躍だった=鴨池市民

4番・太月が4打点の活躍
夏高校野球第9日

 【鹿児島】第99回全国高校野球選手権鹿児島大会第9日は11日、鹿児島市の県立鴨池、鴨池市民の両球場で3回戦6試合があった。
 奄美勢は第5シード大島が鹿児島玉龍と対戦。終盤追い上げられる苦しい展開だったが九回に5点をダメ押して突き放し、11―5で勝利し4回戦進出を決めた。
 第10日は12日、両球場で3回戦6試合がある。奄美勢の対戦は組まれていない。

 【評】大島は初回、4番・太月の右前適時打で先制したが、その裏2本の本塁打を浴びて逆転された。三回、無死満塁で再び4番・太月が左翼線に2点適時二塁打を放って再び逆転すると、六回は9番・吉見、七回は6番・盛山の中越え二塁打でリードを4点に広げた。終盤、鹿児島玉龍の粘りで1点差まで追い上げられたが九回、4番・太月の右前適時打を皮切りに5安打、4四死球が絡み、打者11人で一挙5点を奪って突き放した。九回裏は2番手・日高が2安打されるも、後続を絶ち追加点を許さなかった。

打ってつなぐ!

 

大島

170711大島3点目
【3回戦・大島―鹿児島玉龍】3回表大島無死満塁、4番・太月の二塁打で三走に続き二走・重村も生還、3―2と逆転する=鴨池市民

 

 大島は、鹿児島玉龍の粘りに終盤まで我慢が続く展開だったが、4番・太月幸の4打点の活躍などで打ち勝つことができた。

 「太月の前にいかにして詰めた状態で走者をためるか」(塗木哲哉監督)は、大島の攻撃のテーマの一つ。打撃好調の4番の前に走者をためるのはもちろん、一塁を空けた状態だと、歩かされる可能性もある。それを避けるには、前を打つ打者がバントではなく、打ってつなぐことが求められる。

 三回無死一二塁。スコアは1―2。3番・有馬壱成は「送りバントか?」と一瞬思ったが、塗木監督からのサインは出ていない。打ち損じれば併殺の危険性もあるが「積極的に打っていこう」と果敢に初球ヒッティング。当たりは良くなかったが、二塁後方、右翼前方に落ちるヒットとなって満塁の状態で太月につなぐことができた。

 1点差に詰め寄られた九回は、先頭の2番・重村が中前打で出塁。有馬は初球を見逃したが「後ろにつなぐ」ことにテーマを切り替えた。ボールを最後まで見極めるために右方向打ちを意識した。粘って四球を選び、一二塁で太月に回した。

 「みんなが作ってくれたチャンスは絶対に生かす」

 強い気持ちで打席に立った太月は、いずれも期待に応えた。外角を右方向に持っていくのは元々得意で、相手もそれを意識して外野が極端に右寄りのシフトを敷いていたが、ものともしなかった。一方で「内角は素直に引っ張る」柔軟な打撃もでき、状態の良さがうかがえた。

 連日の雨が上がり、夏独特の蒸し暑さの中で、我慢が続く展開だったが、最後に突き放すことができた。「これまでの経験が生きている」と塗木監督。初回に本塁打2本で逆転されるなど、浮足立ちそうなこともあったが、最後まで粘り強く地に足つけて戦うことができた。(政純一郎)

集中でグラブにボール吸いつく!

 

大島・米田悠大二塁手

170711熱球譜・大島
四回裏、一死満塁。スコアは3―2、点差は1点のみ。守備を揺さぶられて招いたピンチだけに、失点すれば一気に相手に流れが行きかねない場面だった。

 

 「今大会、打撃では打てていなかったので、守備では絶対に仕事をしようと思っていた」。

 二遊間に難しい打球が来る。「がむしゃらに取りにいった。無我夢中だった」。バックハンドで捕球し、ベースカバーに入った遊撃手・有馬壱成にグラブトス。「悠大から良いボールが来たから、絶対に併殺を決めようと思った」有馬が素早く一塁に転送し、併殺でピンチを切り抜けることができた。「今まで試合でなかなか併殺が決められなかったので、決められて良かった」と喜ぶ。

 「集中して守っていると、グラブにボールが吸い付くことがある」と塗木哲哉監督は言う。無我夢中でその瞬間のことは「よく覚えていない」が局面のピンチを救った値千金の好守だった。

 日ごろの練習では、打撃練習で守備につき「実打球を捕る」ことを意識している。左打者がセンターから逆方向に打った打球は、外側に切れていくことが多い。逆シングルで自然に打球に反応できたのは、日ごろの練習の成果が身に沁みついているからだろう。

 九回一死満塁で迎えた打席では、塗木監督から「何も考えず来た球を思い切り振れ」と発破をかけられた。しっかりボールを見極めて四球を選び、押し出しで打点を稼ぐこともできた。だが「守備は良かったが、打撃は納得いってない」。次戦は「打撃でもチームに貢献する」が目標だ。
(政純一郎)