伊是名の会定期公演

色鮮やかな衣装で伊是名の会の世界観を広げるステージ(=写真提供 藤井翔さん)

伊是名会②
六調が響き一体となって盛り上がる会場(=写真提供 藤井翔さん)

神宿るシマをステージで再現

 【東京】調布市の「調布グリーンホール」で2日、舞踏集団伊是名の会・第28回定期公演「琉美想舞」が満席の観客を集め盛大に開催された。「素晴らしい」「過去最高だ」など、歓喜の声が客席からわき起こり、華やかなステージで繰り広げられる奄美の世界を堪能していた。

 今回のテーマは「奄美」。アカショウビンが太古の原生林を舞う映像に続き、喜界島出身の唄者・牧岡奈美さんの「朝花節」でスタート。奄美出身の父親が、奄美の歴史と文化を卒論のテーマに選んだ娘を案内するという設定でナビゲート。それに沿って「サンガツサンチ」「豊年節」「諸鈍シバヤ」などが演じられていく。「平瀬マンカイ」では、巫女=みこ=風の女性とチヂンの勇壮な男性が競演、日頃の練習の成果を発揮していた。

 伊是名の会の会主・原口このみさんは「旧暦に沿って奄美の文化や風習、伝統をより身近に感じていただきたい」。来年の世界自然遺産登録が見込めることを見据えて構成したという。また、「門外不出である無形文化財の伝統の型を崩さずに振付を施し、新しい奄美サウンドにのせて創作しました」と説明した。

 その音楽を担当したのは、奄美出身のシンガーソングライター・平田輝さんだ。「故郷の良さを音楽でも感じ取ってほしい」と目を輝かせた。光と音が織り成すステージで、仮面や優雅な衣装の出演者たちが躍動、神が宿る故郷(シマ)が再現された。原口さんは「奄美の貴重な遺産が、時を超えてこの先も千年も万年もつないでいかれることを願いたい」と笑顔で思いを語った。

 伊是名の会は、奄美と沖縄の伝統と基本を踏まえながら、斬新な創作舞踊に挑戦している会。これまで全国各地の公演に加え世界11カ国での海外公演も重ねている。8月26日には、野方区民ホールWIZで「伊是名の会教室発表会」を、来年7月15日には、なかのZERO大ホールで「第29回定期公演」を行う。