保護規制の周知を

奄美大島5市町村で制定されている「希少野生動植物の保護に関する条例」の概要(奄美市ホームページより)

昆虫トラップの無許可設置相次ぐ
県外在住者の回収確認も

 奄美市笠利町と同名瀬で、昆虫トラップが無許可で設置されていることが19日までに判明した。県と市の担当者などは昆虫トラップを笠利町で約70個、名瀬で1個を確認。昆虫トラップの無許可設置は、6月21日奄美市住用町スタル俣線で14個が設置され翌日に撤収を確認済み。相次ぐ無許可設置に、関係者は国立公園の保護規制の周知など求めている。

 県担当者によると6月27日に、市環境対策課から笠利の昆虫トラップの通報を受けて現地確認。ネットに腐らせたバナナを入れた昆虫捕獲のためのトラップを、笠利町外金久から蒲生崎にかけて約70個確認した。このうち約10個が、県の設置許可を要する第2種特別地域内に設置されていた。

 また市職員が、昆虫トラップを回収しようとしていた男女を発見。市の聞き取りに対して、身元を話さなかったので奄美署に通報したという。

 2人は県外在住で、昆虫トラップの設置を一部否認。市などは目的について「趣味で昆虫採集していた」とした。

 また名瀬知名瀬では、6月30日に昆虫トラップ1個を地元ガイドが発見。市などによると発見地点は第2種特別地域内で、昆虫トラップの設置者は見つかっていない。

 国立公園では、場所ごとに異なる段階的な保護規制を実施。今回トラップが確認された約10カ所は、第2種特別地域で自然公園法では工作物の設置が厳しく規制されている。

 奄美大島5市町村は、指定する固有種や希少種(動物12種・昆虫10種・植物35種)の捕獲採取などを禁止する保護条例を2013年に施行。条例に違反した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金を科される。

 相次ぐ昆虫トラップの無許可設置に、県大島支庁総務企画課の湯田平哲朗課長は、国立公園内の保護規制についての更なる普及啓発を重視する考え。問題再発防止のために国などの関係機関と連携して「自然公園法の趣旨を徹底したい」と語った。

 奄美大島エコツアーガイド連絡協議会の喜島浩介会長も、今後も島外からの観光客など増加が予想されるので国立公園の区域内や区域外での保護規制など周知の重要性を提言。トラップを仕掛ける人に「見るのは構わない。保護規制を守り持って行かないで」と話した。