奄美から2人が漁業士認定

「指導漁業士」の杉さん(左)と「青年漁業士」の阿野さん(右)

「チャンスをアピール」杉さん
「『釣る』から『釣らせる』へ」阿野さん

 【鹿児島】優れた漁業活動や後継者育成活動などに取り組んでいる漁業者を、県が「漁業士」と認める認定式が1日、鹿児島市の県庁であった。2017年度は県内で7人が選ばれ、奄美からはとくのしま漁協の杉幹男さん(45)が「指導漁業士」、与論町漁協の阿野忠義さん(40)が「青年漁業士」に認定された。

 「指導漁業士」は優れた漁業経営、漁家加工などに意欲的に取り組み、漁村青少年の育成に指導的役割を果たしている60歳未満、「青年漁業士」は漁業や漁家加工などに意欲的に取り組み、地域の中核的漁業者と見込まれる45歳未満が、それぞれ認定される。杉さんは、奄美群島各地の若手漁業者に一本釣や旗流しの漁業技術指導などに取り組み、地域の漁業後継者育成に精力的に取り組む。阿野さんは活動を休止していた漁協青年部を2年前に再始動させただけでなく、旅行者に漁業体験をさせる「ブルーツーリズム」の活動にも積極的に取り組んでいる点が評価された。

 式では小林洋子副知事から認定証が渡された。小林副知事は「魚食の普及や担い手の育成など、地域社会のリーダーとして頑張ってほしい」と激励。受賞者を代表し北さつま漁協の小﨑友子さん(44)が「地域に奉仕し、水産業の振興に努めます」とお礼を述べた。

 長年、普及活動に取り組む杉さんは「漁業に興味を持つ若者がいない」ことに危機感を持つ。「資格や技術取得には公の補助制度がある。漁業にはチャンスがあることを広くアピールしていきたい」と話す。「島は小さいけど海は広い」(阿野さん)与論は島外からの観光客も年々増え、釣りなど漁業を体験したい人も増えているという。「『釣る』から『釣らせる』に視点を変えてみえてきたものがあった。漁業者ならではの海の魅力をいろんな人に発信していきたい」と今後の抱負を話していた。