武蔵野大の学生らによる「旅するムサビ」で、小湊小学校で「黒板ジャック」が行われた。
登校した児童生徒らを驚かせる「黒板ジャック」が1日、奄美市名瀬の小湊小(外戸口浩春校長、児童20人)で行われ、昨年に続き、武蔵野美術大学造形学部の学生らによるアート作品が各教室の黒板に描かれた。アダン、ケンムン、野鳥、ガジュマルなど奄美の特徴を捉え、キャンバス一杯に表現された絵に児童らは関心の目を向けながら鑑賞していた。
取り組みは「旅するムサビ」と呼ばれるもので、全国各地の学校などで展開している同大学生の自主活動の一環。9人の学生らがグループに分かれ、大川小中学校の教室にも同様に制作された。
同小を訪れたのは、鴨田沙耶さん(油絵学科2年)、藏滿明翔さん(同1年)。飯塚礼士さん(デザイン情報学科1年)。先月23日に来島し、各地を巡ったり、集落の人らとの交流などを通して、それぞれテーマを決め制作に取り組んだ。
鴨田さんは、浜辺に座って釣りをしているケンムンと、釣り上げられた魚を見て歓声を上げている住民を表現した。「ケンムンにまつわる伝説などを聞いて関心を持った。チョークということで普段と違う感覚だったが、児童らが一目で情景が分かるように描いた」(鴨田さん)作品。同小の津留凛華さんは「影も表現されていて、とても上手い」と感想を語った。
飯塚さんは、カメや海ヘビがサンゴの周りを泳いている様子などを描いた。「海がきれいで、様々な生き物が見られ、新鮮だった。サンゴも初めて見た」と奄美の自然に感動した様子だった。
藏滿さんは鹿児島市の出身だが、小学3年までの6年間を大和村大棚で過ごしたという。絵日記形式で制作。森林に多くの野鳥がとまっている様子、魚のアラカブを描き、両側には文章を付けた。「5・6年ぶりに見た自然はやはり豊かだった。小学生の頃自分が絵日記を書いていたこともヒントになった」と話した。
学生とともに来島した同大造形学部油絵学科・水上泰財主任教授も制作にあたり、ガジュマルと後方に広がる山々を描いた。水上教授は「ガジュマルの木の形の面白さを表現したかった。豊かな自然で生活していけることは素晴らしいこと」。また、学生らの作品については「奄美で感じたことを自由に伸び伸び表現出来ていた」と語った。
2日に離島するが、作品は、鑑賞用にしばらく残しておく予定だという。