南2島 台風の慈雨なく干ばつ深刻

水不足によるロール現象が見られたサトウキビ(与論町古里地区)

サトウキビにロール現象、危機感

梅雨明け(6月29日ごろ)以降、干ばつ傾向が続いている沖永良部島と与論島。8月4~5日にかけて奄美地方北部に接近した台風5号は、奄美大島や喜界島、徳之島に大雨をもたらしたのに対し、南部2島では干ばつが解消するほどの降雨はなかった。サトウキビ畑では水不足によるロール現象も目立ち始めており、島内の生産者や行政機関は「台風が水不足解消につながると期待していただけに残念」と危機感を募らせている。

気象庁によると、奄美地方各地の7月雨量は、天城8㍉(平年比7・9%)、沖永良部(和泊)1・5㍉(同1・3%)、与論1㍉(同0・8%)にとどまった。それを受け、徳之島島内、和泊町、知名町、与論町では同月中にさとうきび干ばつ対策本部を設置。散水車の緊急稼働など対応に追われた。

少雨状態となっていた奄美大島や喜界町では、台風接近による記録的な大雨で、14日までに平年値を大幅に超える雨量を観測。徳之島を加え、群島北部の干ばつ危機はひとまず解消した。

その一方、南部2島では、台風が最接近した7、8日にかけて1日当たり20~30㍉の降雨を記録したものの、その後は雨量ゼロ。同庁の1か月予報で、「奄美地方は高温少雨が続く」としており、3自治体(和泊、知名、与論)関係者から今後を懸念する声が出ている。

和泊町では、散水が必要なエリアで、散水車4台(2台を緊急追加)がフル稼働。知名町ではサトウキビのロール現象、食害につながるバッタの有無も視野に現在、調査を行っているという。

与論島島内のサトウキビ畑でもロール現象が現れた。与論町産業振興課は6月から秋まで少雨が続いた2013年の干ばつ被害に触れ、「4年前の状況と似ている。台風の雨を期待していた農家に不安が広がっている」と今回の“空ぶり”にショックを隠し切れない。

14日、名瀬測候所は奄美地方の少雨と長期間の高温注意を発表。6月29日から8月13日までの平均気温は、▽名瀬29・6度(平年差1・0度高)▽沖永良部29・9度(同1・4度高)。各地で平年差0・7~1・3度の暑さに警鐘を鳴らし、「今後も2週間程度、この状況が続き、まとまった雨が降る可能性は低い」として、農作物や水の管理、健康管理を促している。

15日の奄美地方の天気は晴れ。高温が予想される。