伝統の〝白布の舞い〟「むちたぼり」=15日午後8時すぎ、徳之島町手々
幻想的な〝白布の舞い〟
見物客ら楽しませる
○…徳之島町手々集落(村山佐ヱ明区長、59世帯・約108人)で15日夜、月遅れ盆の最終日恒例の伝統行事「むちたぼり」があった。頭から白布をまとった一種独特のいでたちの男性陣ら踊り連が、唄者たちの三味線・太鼓・歌にのせて軽快な踊りで家々を訪問。町内外からの見物客らも楽しませた。
○…稲作文化に根差した〝豊作・予祝祭〟の「ムチタボレ」や「アキムチ」「タネムチ」などと同列とされる秋祭りの一つ。同集落では旧盆の盆踊りと併催していたが、17年前からは盆帰省者の多い月遅れ盆に移行して存続している。
○…一方では、過疎・高齢化の波で、もう一つの名物行事「田植え祭り」は、伝承用水田の耕作の維持が難しくなり、今年から「廃止」。図らずも訪問先がお餅を用意して配る本来の「餅もれ」の形が復活されたとも。
○…午後6時ごろ、まず手々小中学校の児童生徒ら子ども連が家々を訪問し、元気いっぱいの歌・踊りを披露して喜ばせた。訪問先の住民たちからは、お餅や菓子などご祝儀が贈られた。
○…そして家々で送り盆を終えた午後8時すぎ、唄者らを先頭に一般の踊り連約40人が、盆踊り会場の手々小中校庭を出発。慣例通りに井上キクエさん宅を皮切りに計6軒を訪問し、幻想的で情熱的な〝白布の舞い〟を庭先などで披露した。訪問先からはご祝儀の飲み物などが振る舞われた。家回りの後は同校庭に戻り盆踊りの輪も広げた。
○…村山区長(66)は「むちたぼりは、集落の2歳~90歳代の老若男女たちの心が一つになれる一大イベント。人口減の影響は厳しいが、U・Iターン者たちの力も借りながら維持していきます」と話した。