西郷南洲記念館を見学するバランスシート探検隊のメンバー=17日、和泊町=
和泊町
【沖永良部】町の公共施設と財政について考える「和泊町バランスシート探検隊」(JAGA、同町主催)が17、18日の日程で開催された。同町の西郷南洲記念館と海洋療法施設「タラソおきのえらぶ」の2施設を見学。参加者からは、施設のPR不足や学校教育での活用を求める意見が出た。
経営的視点から公共施設の管理・利用・処分などを考えようと、自治体の会計改善を支援する「JAGA」と鹿児島大学、同町が連携して開催。今年で3回目。地元住民や役場職員、鹿児島大学の学生ら約30人が参加した。
初日、「和泊町の財政状況と課題」をテーマにJAGA理事で千葉大学教授の大塚成男氏が講演し「町の借金は多いが、将来に向けた蓄え(庁舎建設基金、土地改良事業基金など)を積み上げることができており、財政的に余裕のない状態ではない」と述べた上で「債務の返済よりも、既存の施設・設備の維持管理で生じる将来の負担に、どのように対応すべきかが課題になる」と指摘した。
鹿児島大学法文学部法経社会学科の澤田成章准教授は「和泊町役場新庁舎問題に関する論点整理と今後の課題」と題して講演。新庁舎規模に対する今後の職員数の減少をシミュレーションした結果から「2040年までに200平方㍍以上の余剰スペースが生まれる可能性がある。段階的に他の公共施設の機能を取り込んで余剰スペースを生まない工夫が必要だ」と話した。
参加者は施設を見学後、5グループに分かれて意見交換を実施。防災センター会議室で行われた発表会では、西郷南洲記念館について「民間に委託することでお金を取れる施設にする」「大河ドラマもあるので、偉大な施設として情報を発信してほしい」。タラソについては「児童生徒が使いやすい施設にした方が良い」「10年ほどしか経過していないが、古く感じる」などの意見が出た。
最後に大塚氏は「西郷記念館はリピーターを期待できる施設ではないが、学校教育での活用や日本全国の西郷ゆかりの団体とネットワークを作ることで、今までのコストが意味を持つようになる。タラソは、いくつかの部署が分割して管理していて施設全体の効率化が図れるのか心配。両施設とも和泊町のPRのために使うべき施設なので、役場の組織にこだわらない使い方を考えてほしい」と講評した。