「徳之島ダム発電所」も完成

国営事業は「徳之島ダム発電所」(左側・水車と発電機、右側・入口弁)の完成で実質完工に=21日、天城町

国営徳之島用水土地改良事業
着手21年、実質完工 10月「完工式」へ

 【徳之島】国営徳之島用水土地改良事業では、「徳之島ダム」(貯水量730万㌧)の維持管理費の軽減を図るための小水力発電所「徳之島ダム発電所」の発電機器類すえ付け工事もこのほど完成。1997年度の事業着手から21年、総事業費約590億円を投じた国営事業が事実上完工した。農水省九州農政局徳之島用水農業水利事業所は10月に「完工式」を行う。

 徳之島用水土地改良事業は、同島の全耕地の約半分に当たる約3500㌶を対象に、経営規模の拡大や担い手農家の育成、生産性向上などで地域農業の振興を図るのが目的。天城町秋利神川水系への徳之島ダムや揚水機場、島内全域へのファームポンド(水槽)12カ所、総延長128㌔におよぶ幹線水路などを整備してきた。

 国営事業で造成整備したこれら施設の管理は、3町の受益農家でつくる徳之島用水土地改良区(組合員対象約3750人)が行う。揚水機場のポンプ稼働電力など相当な維持管理費の分担が必要になる。小水力発電所は、同ダムから放流される未利用の水力エネルギーで発電して、再生可能エネルギーの固定価格買取制度を活用して九州電力㈱に売電して経費を軽減させるのが目的(現在、経産省と調整中)。

 14年度にダム放流口近くへの発電所建屋など建設で着手。製作発注していた水力発電機器(フランシス水車形式)の搬入、すえ付け工事もこのほど無事終了。事業所は21日、県徳之島事務所や徳之島3町、徳之島用水土地改良区、九州電力新徳之島発電所など関係者を「徳之島ダム発電所」に招き概要を説明した。

 同事業所の寺村伸一所長はあいさつで「施設の維持管理費の捻出のみならず、離島の電力が化石燃料に頼らざるを得ない中でクリーンなエネルギーを供給する義務も」とも強調。「ダム式(流れ込み式)」による最大取水量は毎秒1・3㌧、総落差44・10㍍(有効同42・92㍍)、最大出力438㌔kw、年間発電電力は2169Mwh(一般住宅の数百件分)。事業費は約3億9千万円。

 10月の「完工式」の日時・場所などは近く公表。事業の完工により同現地事業所(天城町)も来年3月末をもって廃止される。