ハンセン病問題理解深める

入所者の体験談などに真剣に耳を傾ける家族連れなど参加者ら

和光園親子訪問 入所者との交流も

 奄美市名瀬の国立療養所奄美和光園(加納達雄園長、入所者27人)で24日、入所者と交流する「親子療養所訪問事業」(県保健福祉部健康増進課主催)があった。親子連れなど11人が参加し、施設の歴史、入所者の体験談なども聞き、ハンセン病への理解を深めた。

 訪問は今回で15回目。ハンセン病問題についての正しい知識の普及啓発等を目指している。

 交流会のはじめ、加納園長が施設の成り立ちなどを説明。建設許可などが下りたにも関わらず、地域住民の反対もあり、「話がなかなか前に進まない時期もあったが、当時無医村で地域医療も担うことを突破口に計画が進んだ」というエピソードや1943年の開園後、47年から一時米軍による運営、53年の日本復帰で再び厚生省に移管された経緯、外来診察を受け付けるなど、現在も地域に根差した施設であることなどが紹介された。

 入所者は最も多い時で360人いたが、現在は27人(男8人、女19人)。平均年齢は84・78歳と高齢化が今も進んでおり、語り手が少なくなってきている現状にも触れた。

 3グループに分かれての、入所者との交流では、2人の女性が参加し質問にも答えながら自身の体験談、普段の生活について話した。徳之島出身の88歳の女性は19歳の時に入所。「読書が支えの一つだった。これからもリハビリで取り組んでいる書道を頑張りたい」などと話した。

 参加者らは施設内一部を巡り、病棟のほか、後遺症で体が不自由になった人らが居住する個室なども見学。また、納骨堂に献花も行い、亡くなった人の冥福を祈った。

 参加者には、これまで複数回施設を訪れている人も。大島高校2年の中山莉李=りり=さんは小中学生の時も訪問しており、今回は事前に関係する書籍も読んで参加。中山さんは「文章だけでは分からないことを知ることができた。今回の交流でさらに理解が深まった。入所者の方が今の子どもと交流するのが楽しいと言っていた。もっと交流する機会が増えたらいい」と話した。