大和村でエコツアーガイド育成研修

開饒神社で直川智の功績を学ぶ参加者

集落歩きで歴史文化学ぶ
基礎的知識や技術習得へ

 奄美群島広域事務組合は2日、大和村思勝などで2017年度エコツアーガイド初期段階育成研修プログラム「ぎゅーっと大和村集落(シマ)歩き」(奄美北部1班)を行った。一般や関係者など約20人が参加し、3集落(大和浜・津名久・思勝)を回る集落歩きを通してサトウキビの歴史や大和村の名前の由来などを学んだ。

 同組合は初期段階育成として、質の高いエコツアーガイドの量的確保や就業機会の創出を目的にエコツアーガイドを志す人に基礎的な知識や技術習得を図る研修を実施。長崎県立大学経済学部地域政策学科の西村千尋教授を講師に、2年間で座学や集落歩きなど1セット計10回研修が予定されていて今回は9回目の集落歩きを実行した。

 同村防災センターで受付を終えた参加者に、事務局から集落歩きマップなどを配布。長崎県立大の学生たちは、スタッフとして集落歩きに参加。今回は5カ所のポイントで、各担当者から解説やクイズなどが行われた。

 防災センターを出発し、最初に訪れたポイントは思勝集落の赤井家の屋敷。同村役場の地域おこし協力隊の小海もも子さんは「赤井家は、昔の奄美の住宅の特徴が残っている家」と説明した。

 小海さんは集落行事の豊年祭などに作られる「ミキ」を紹介して、赤井さん提供の「ミキ」を試飲。米などを原料とした発酵飲料で、「1㍉㍑あたり約1億個の乳酸菌が入っている飲み物」と話した。

 赤井家から開饒=ひらとみ=神社に移動。神社は1882年(明治15)に建立され、中国から奄美にサトウキビの苗と製糖技術を持ち帰った直川智が祭られていると紹介した。

 その後も津名久漁港や大和浜の和=にぎ=家跡地、群倉=ぼれぐら=などを巡り見学。各担当から「津名久は古くは遣唐使が立ち寄る港で、大和浜は大和(本土)の人が住んでいたことが地名の由来」と解説された。

 研修プログラムを終えて、小海さんは集落歩きについて「観光ではあまり紹介しないものを取り上げた。シマの方言などで地元の良さが伝わるように取り組んだ。これからも集落歩きのコースを増やしたい」と語った。

 同組合は10月22日、初期段階育成研修の最終研修の報告会を実施する予定とした。