石垣の復旧作業体験

足場を組み重機で石垣を取り除くメンバー=和泊町=

0830石積み研修会②
修復を終えた石垣と参加メンバー(提供写真)

石積み研修会 島内の「仕事づくり」へ

 【沖永良部】建設業関係者を対象にした石積み研修会(和泊町主催)が8月30日、同町後蘭字の後蘭孫八城跡であった。町内10事業所から25人が参加し、講師の指導のもと、城跡内にある野面積みの石垣の復旧作業を行った。 

 同町では建設業の人材育成を目的に、国の地方創生先行型事業を活用して2015年から毎年研修会を実施している。初年度は町内の建設業の現状について考え、2年目以降は新しい「仕事づくり」につなげるプロジェクトとして▽長期宿泊施設コンドミニアム建設事業▽空き家賃貸事業▽石積景観復活事業―をテーマにワークショップなどを開催してきた。

 今回は石積みの工法を学ぼうと、沖縄県今帰仁村で石垣の修復作業を請け負う(株)SIN企画の上間信也さんと我那覇宗昭さんを講師に招いた。

 現場の石垣は、100年程前に積まれたものと考えられており、当時の住民が倉庫または牛小屋として使っていたという。高さ140㌢、幅310㌢、奥行き80㌢ほど。自然石をそのまま積み上げる「野面積み」の手法を用いている。長い間放置され一部が崩れた状態になっていた。

 最初に、石垣の解体作業を始めた参加者らは「この石を取ると、こちら側が崩れる」「(石垣の中に)小石を入れて全体のバランスを取っていたのかも」と話しながら、小さな石は手で、大きな石は重機を使って取り除いていった。午前9時の作業開始から約6時間かけて修復作業を終えた。

 参加した男性は「島にいる若い世代で石積みの経験がある人はいないだろう。この技術を学んで新たな仕事にしていきたい」。

 同町役場土木課の皆吉泰智課長は「島の重要文化財を保存するために修復工事が必要な時期が来る。その時に今回集まった地元の人たちがチームを組んで作業をすれば、技術の習得や継承につながる」と話した。