身近な大自然を学んだ「与名間地区の自然観察会」=3日、天城町与名間
アマミノクロウサギの死がいに複雑な表情の児童たち=3日、天城町与名間
【徳之島】天城町立岡前小学校与名間分校(児童数8人)の家庭教育学級(西元章子学級長)主催の「与名間地区の自然観察会」が3日午前、分校の背後に広がる天城岳連山の「与名間林道」であった。親子連れ約20人が参加。町自然保護専門員のガイドでアマミノクロウサギのふんや希少植物などを観察。ノネコに襲われたとみられるクロウサギの死がいの一部にも遭遇し、現実的課題を親子で考えた。
学校裏に広がる天城岳北部連山の与名間林道沿線の一帯は、一部特別地域を含む奄美群島国立公園指定地域となっている。国の特別天然記念物アマミノクロウサギをはじめ固有植物など希少野生生物が生息。だが、分校児童たちはもちろん保護者の間にも林道での観察経験者は少ないのが現状。こうしたなか、与名間集落の西元秀継区長が「世界自然遺産登録に向けてはまず、与名間住民や町民に本地区の自然の豊かさを知ってもらおう」と提案した。
現地ガイドは同町企画課の岡崎幹人自然保護専門員(43)が担当。希少植物などの盗採防止の観点から林野庁が設置した門扉(通常施錠)による一般車両の無断進入規制などの効果も考えられるというクロウサギのふんの増加(出没増)も確認。ほか固有種を含む希少植物なども観察した。
一方で、現実的な課題を赤裸々に見せつけたのが、野生化したノネコなど外来種による食害と見られるクロウサギの死がい。肉や骨は散逸して干からびた毛皮の一部がアスファルト路面から路傍の草むらにかけて散乱。成獣か幼獣かも不明だが、厳しい課題を目の当たりにさせられた。このあと学校に戻ってミニ講話。県や町条例で採取が禁止された希少生物種の解説や、町「アマミノクロウサギ観察小屋」(同町当部)の記録映像も視聴した。
4年生の前田陸人君(9)と平山陸人君(10)は「与名間の山に来たのもクロウサギのふんを見るのも初めてで、楽しかった」。クロウサギの死がいには「かわいそう。ネコを放し飼いにしたり、捨てたりしてはいけないと思った」。家庭教育学級長の西元さん(45)は「(同町)三京の自然観察会には行ったが、与名間は初めて。与名間もクロウサギのふんが多く自然が豊かだと分かった。子どもたちも自然に興味を持って欲しい。地域の人はごみを捨てたりしないで欲しいとも思った」。