16年度出動実績や検証事例が報告された第1回会合
県や奄美群島の自治体、医療、消防機関などで構成する奄美ドクターヘリ(ドクヘリ)運航調整委員会(委員長・福元俊孝県立病院局事業管理者、委員27人)は6日夕、奄美市名瀬の県立大島病院救命救急センター研修ホールで2017年度第1回会合を開いた。昨年12月27日の就航以降、16年度実績は要請117件(出動87件)で1日平均1・24件としたほか、作業部会での検証症例を報告。委員はヘリの効率的な運航に向け、引き続き関係機関との連携体制の維持、出動対応の検証を行うことで一致した。
県内2例目となる奄美ドクヘリは、離島の救命態勢向上を目的にスタート。県立大島病院を基地病院に、国内で最も広範囲とされる、トカラ列島を含む奄美群島全域をカバーする。
昨年ヘリの運航要領を承認した同委員会は、ヘリ就航後に事後検証体制の設置と年1回開催を定めており、この日は就航後初開催。約20機関の担当者が出席した。
同病院事務局によると出動件数の内訳は、現場31件、施設間搬送54件、出動後キャンセル2件。疾患別では、脳21件、心・大血管13件、外傷10件など。消防機関別の要請件数は、瀬戸内19件、喜界15件、徳之島(本署)同、沖永良部同となった。
なお1回当たり活動時間は、現場出動で平均42~44分、施設間搬送出動で84~142分。天候不良を除き、期間中はほぼ運航できた(終日運航93日間)とまとめた。
ヘリ出動による効果検証では現場、施設間搬送ともに「搬送時間短縮」との判定が最も多く、以下、「救命効果」「地域医療支援」につながったことを報告。検証症例では、▽死後硬直確認後の搬送▽終末期患者の搬送対応のあり方―などを挙げ、委員は今後について、医師と消防機関と連携した対応を提言。今後は、委員会の下部組織で構成される「消防・医療部会・幹事会」の中で、検証のあり方を協議していくという。
そのほか、海難事故の搬送事例などを踏まえ、同部会の構成機関に奄美海上保安部、鹿児島国際航空㈱を追加。また県内外の災害救援出動時の搭乗人員を見直す、運航要領の一部改定を承認した。
同病院の服部淳一救命救急センター長は、就航後から出動件数の増加傾向を示唆。「出動事例を積み重ね、運航の精度を高めていきたい」と話し、引き続き、住民や消防機関の理解、周知に取り組むとした。