奄美ドクヘリ運航開始から8カ月

奄美群島をカバーする「奄美ドクターヘリ」

総要請389件 1日平均1・21件出動

 

出動要請が増加傾向

 

住民、消防機関に浸透

 

 奄美ドクターヘリ(ドクヘリ)運航調整委員会(委員長・福元俊孝県立病院局事業管理者、委員27人)はこのほど、昨年12月27日の就航から今年8月末までの運航実績をまとめた。通算出動要請数389件に対し、実出動数300件で1日平均1・21件。奄美群島内の出動要請は就航後、増加傾向にある。これについて同委員会の関係者は、地域の住民、消防機関のドクヘリ事業に対する浸透とみている。

 奄美ドクヘリの運航状況のまとめは、同委員会2017年度第1回会合で報告された。

 運航実績日数は就航から8月31日までの248日間。実出動件数のうち、患者を現地収容する現場出動は124件、医療機関など施設間搬送数は165件、出動後キャンセルは11件。なお病状は外傷61件が全体の2割を占め、心・大血管疾患37件、脳疾患49件、CPA(心肺停止)14件となった。

 出動要請した群島内各地区の消防組合内訳は、大島260件が最も多く、以下、徳之島67件、沖永良部与論51件、十島村11件。また搬送先の医療機関は基地病院(県立大島病院)が203件で全体の68%を占め、県本土、沖縄への搬送はそれぞれ34件だった。

 16・17年度別の実績をみると、1日平均の出動要請件数は1・23→1・78、同実出動数は0・92→1・39とそれぞれ増加。消防機関からの要請数も全地区で増加した。

 同病院の服部淳一救命救急センター長によると、17年度に入り、想定よりも多い状況が続き、1日出動要請が2件以上の日もあるという。

 現状の出動数について服部センター長は「想定以上の出動」とした上で、「消防機関、スタッフの連携を高めることで出動後のキャンセル件数が減化できる。出動態勢の精度を高めつつ、引き続き救急医療体制の向上に尽くしたい」と話した。
メ モ
 奄美ドクターヘリ 事業実施は県内2例目。十島村を含む奄美群島を片道45分以内でカバー。運航時間は午前8時半から日没まで。