大熊漁港の浮き桟橋完成

大熊漁港内に浮き桟橋が完成。干満差の影響を受けず、漁業従事者の労力軽減、安全性の確保につながることが期待されている

従事者の労力軽減 漁業、観光振興に期待

 

 

 県が整備を進めていた、奄美市の大熊漁港=名瀬大熊=内の浮き桟橋の供用がこのほど開始された。干満差の影響で、干潮時に漁船と陸の間の高低差が大きくなり、水揚げの際、運搬作業など従事者の負担となっていた。橋は、潮位に合わせて上下するため、潮の干満に関係なく、スムーズな作業が期待できる。関係者は、労力軽減や安全確保にもつながるとして施設完成を喜んでいる。

 同地区は、昔からカツオ漁業が盛んな地区として知られる。1922年(大正11)創業の宝勢丸鰹漁業生産組合などを中心に、年間水揚げ量は約350㌧。今回の整備は、同組合や地元漁業関係者の要望を受けたもの。

 潮の干満差は、最も大きい時には2㍍に達する。春頃には、停泊する漁船が岸壁より下に位置し、水揚げなど作業従事者にとって、大きな労力と危険を強いられてきた事情があったという。

 施設整備は、農林水産省の漁村再生交付金事業を活用。延長21㍍、幅員10㍍。工事費は約2億1千万円。2016年1月から17年7月までの工事期間を経て、8月17日の供用開始を迎えた。

 同組合の徳田謙治さんは「安全性が向上したことをはじめ、干満に関係なく労力の軽減につながっている。作業時間の長さが魚の鮮度にも影響してくる。新鮮で美味しい魚が提供できる」と歓迎。また、同漁港では修学旅行生などを対象に、ブルー・ツーリズム(観光型体験漁業)に取り組んでおり、「参加者の乗り降りがスムーズになる」と漁業、観光の振興につながることを期待している。