ボランティア活躍で作業短縮

運んだ木材でやぐらを組む集落住民やボランティア参加者たち

アラセツ前にショチョガマ作り

 

龍郷町秋名・幾里「文化つなぐバトンに」

 

 旧暦8月の初丙=ひのえ=に行われるアラセツ行事「ショチョガマ」の準備が10日、龍郷町秋名・幾里地区であった。朝早くから始まった作業には両地区の住民約50人のほか、今年から募集があったボランティアスタッフ約25人が参加。行事に欠かせないやぐら作りに汗を流した。

 アラセツ行事は明け方に行われる「ショチョガマ」と夕方の「平瀬マンカイ」とがあり、その始まりは奄美群島を琉球王国が統治していた約450年前にさかのぼるといわれている。稲作儀礼の一つとされており、1985年には国の無形文化財に指定されている。

 中でもショチョガマは、木で組まれたやぐらの片屋根に男性が乗り、朝日が出る前にやぐらを揺すり倒す。その後、倒れた片屋根の上で八月踊りを踊り五穀豊穣を祈るという行事。今年は今月26日に行われる。

 準備作業は午前8時から始まった。道路から高台にある祭場に、やぐらに使うイタジイが運び込まれ、参加者たちの手で組み立てられた。午前中にやぐらの骨組みを作り上げ、午後4時ごろには無事完成した。

 ボランティア参加者は主に資材の運搬や、柱を付ける竹製の飾り作りを担当。奄美市名瀬から参加した鬼塚大幸さん(24)は「興味を持っていたので、制作を手伝えると聞いて喜んで参加した。猛暑の中、木材を運ぶのは大変だったが、地元の人たちから伝統を教わることができてよかった。当日も参加し、若い世代の自分が次の世代へと文化をつなぐバトンとなりたい」と語った。

 平瀬マンカイが行われる海岸の清掃もあり、両集落から住民が参加。また、今年はボランティアや作業参加者への昼食の炊き出しもあり、女性の活躍も見られた。

 秋名アラセツ行事保存会の窪田圭喜会長は「今回はボランティアの人たちのおかげで1時間から2時間ほど作業時間が短縮された。当日は観光客へのもてなしに力を入れ、2回、3回と訪れてもらえる集落作りに努めたい」と話した。