食・エネルギー・教育の分科会でワークショップを行った参加者ら=知名町=
シンポジウムに参加した知名中学校の山元陽人さん(右)と山本康起さん(左)
【沖永良部】第8回沖永良部シンポジウム(同シンポジウム実行委員会、酔庵塾主催)が9日、知名町フローラル館であった。参加者は、食・エネルギー・教育の3分科会から1つを選びワークショップを実施。発表では「沖永良部独特の研究テーマを発信して島外の研究者を呼ぶ」「島の人が豊かになるイメージが沸くような事業をすべき」などの意見が出た。
今回は「自足」をテーマに、島内外から年齢や業種の異なる約100人が集まった。
「『心豊かな暮らし』を支えるローカルマネーフローの創出へ」と題して基調講演を行った場所文化フォーラム代表幹事の吉澤保幸氏は、地域創生に向けて資源の循環・再生や地域の誇りを醸成する教育に取り組む全国各地の団体を例に挙げ「お金のインフラを地域で作ることが地域創生を持続的に回していくための仕組みになる。島の未来を作る事業構想は具体化している。今後は補助金ではなく、自足のお金が必要になる。今こそ基金の立ち上げを真剣に議論してほしい」と訴えた。
島での豊かな暮らし方を考える「酔庵塾」の7部会(文化部や教育部、先祖部など)が、これまでの活動を報告。米つくり部は「楽しく作業をしていると、人と情報が集まるようになった」。夏休み期間中に知名町ウジジ浜でゴミ拾いを行った「うじじきれい団」の竿りりさん(小学3年生)ら3姉妹は、漂着ゴミの種類や国籍などを調べた結果を発表し、最後に「ゴミを無くして幸せいっぱいにします」と夢を語った。
分科会(1グループ約20人)によるワークショップでは、各メンバーから「小中高が連携して研究者を呼べる環境を作る」「鍾乳洞の冷たい空気を冷房に使う」「レストランや直売所など島の農産物が集まる複合的な施設を作りたい」などのアイデアが出た。
このほか、ローカルファイナンス研究会の発表や各分科会のメンバー11人が登壇したパネルディスカッション、地元の子ども達約20人が描いた絵の披露なども行われた。
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シンポジウムには地元の知名中学校から、2年生の山元陽人さん(14)と山本康起さん(14)が参加した。
山元さんは「食」、山本さんは「エネルギー」の分科会に加わり、メンバーらとビジネスに結びつくアイデアを出し合った。提案したのは「農作物の加工」「みんなが集まる食堂」「洋上風力発電」「ガジュマルツリーハウス」など。
シンポジウム終了後、2人とも「いろいろな人の話が聞けた」と笑顔。山元さんは「島の未来を考えて自分なりの答えを出した。大人の意見を聞けたし、自分の将来を語る場面もあった。地元の高校に進学して島のためにできることをしたい」。
山本さんは「知らないことが多く、いい経験になった。島の自然が大好きで、釣りや素潜りが趣味。観光で沖永良部を世界にPRして、島を豊かにしたい」と語った。