JPCシンポ

会場の住民からの意見に医師が答えたシンポジウム

医療関係者と住民意見交換

 

楽しみながら地域医療学ぶ

 

 Japan Physical Club(JPC)2017実行委員会(平島修委員長)は17日、奄美市笠利町の県奄美パークで島民参加型特別企画「命と幸せについて語ろう~奄美から日本を変える~」を開いた。同イベントではシンポジウムで島内外から訪れた医療関係者と島民が意見交換をしたほか、楠田莉子さんや、中孝介さん、サーモン&ガーリックによるライブが行われた。

 JPCは14年に始まり、今回で3回目。1回目は全国の医師や医学生が身体診察を学ぶ目的だったが、15年の2回目からは地域の住民を交えて地域医療について意見を交換するイベントを行うようになった。今回の研修は16日から始まり、医師や医学生70人が参加。同日はゲーム形式で楽しみながら診察について学ぶ企画が行われた。

 17日のシンポジウムでは、名瀬徳洲会病院の松浦甲彰院長、同市住用国民健康保険診療所の野崎義弘所長、いづはら医院の桂久和理事長、国際医療ボランティアを行うNPO法人ジャパンハートの吉岡秀人最高顧問の4人が登壇。参加した島民の意見や要望に答えた。

 「救急車を呼ぶタイミングが難しい」という質問に対し、吉岡最高顧問は「年1回でも良いから、救急車を呼ぶ基準などの説明会を開くべき。それでも難しい場合は医療機関に相談をするシステムを作ればよい」と答えた。

 また医療機関同士の連携については会場を訪れた医療関係者から「患者に診療データを渡し、かかりつけ医以外の医師でも持病などを把握できる状態を作っている」という取り組みが発表された。このほかにも「終活」や診察時の医師の態度などについて意見が交わされた。

 平島委員長はイベント終了後、「今の若い研修医や医学生は患者以外の住民の声を聞く機会がほとんどない。意欲を持って参加した医師や医学生が多いので、今回楽しみながら学んだという体験を発信してもらえたら」と語った。

 東京から参加した医師の髙橋淳さんは、「離島での医療は設備が限られていて大変だと聞くが、挑戦してみたい。今回は全国の医師たちと話すことができたし、住民の意見を聞くこともできて良い機会だった」と話した。