世界自然遺産候補地の行動計画などについて協議した奄美ワーキンググループ
環境省と林野庁、鹿児島県は19日、奄美市笠利町土盛のホテルコーラルパームスで2017年度奄美大島、徳之島、沖縄北部および西表島世界自然遺産候補地科学委員会の「第1回奄美ワーキンググループ」を開いた。環境省や林野庁、行政機関など約50人が出席し、世界自然遺産登録に向けた遺産候補地の管理などについて協議した。奄美大島でノネコ管理計画やモニタリング計画の作成を行うことが明らかになった。
開会で環境省那覇自然環境事務所の西村学所長と、林野庁九州森林管理局の林視部長があいさつ。協議の議事を委員の鹿児島大学・米田健名誉教授が座長を努めて進行した。
地域別の行動計画について、県自然保護課奄美世界自然遺産登録推進室の大西千代子室長が奄美大島と徳之島の行動計画を報告。米田座長の指名で山田文雄委員から、ノネコ問題と対策を説明。山田委員は、「奄美大島の山中には、千匹以上のノネコがいる。その捕獲排除から譲渡が現実的なのか」と疑問を投げかけた。
これに対し環境省と県、奄美大島5市町村は連携して、「ノネコ管理計画」を作成して方針を検討することを発表。計画ではやむをえない場合に限り、捕獲されたノネコの殺処分、安楽死を含めた対応を取ることなどが検討されるという。
管理計画の作成について、西村所長は「計画はIUCNの調査に関わらず、早い時期に決定したい」との見解を示した。委員の琉球大学・土屋誠名誉教授は、ノネコ問題の取り組みを評価し「IUCNの視察委員にぜひ伝えてもらいたい」と意見した。
奄美大島および徳之島の世界自然遺産推薦地の管理について環境省は、▽希少野生動植物の密漁・盗採防止▽希少種保護対策としての外来種対策の強化▽緩衝地帯や周辺地域における産業との調和▽適正利用とエコツーリズム▽普及啓発活動の実施▽適切なモニタリング計画の実施・情報の活用―を重点項目として提示。出席者からは、森林施業における生物多様性への配慮や遺産のオーバーユース(利用過多)問題などについて質疑が行われた。
小休止後にモニタリング計画について、具体的に請負業者から作成方針を解説。次回の奄美ワーキンググループは、IUCNの調査を経て来年の3月ごろに開催されるという。