徳之島署・秋の交通運動出発式

有村署長(右)から「1日署長」任命を受けた島田須尚さんと車いすの愛犬「ラッキー」=20日、徳之島署

輪禍に遭った車いす犬「ラッキー」もアピール

 

 【徳之島】秋の全国交通安全運動(21日~30日)の徳之島地区の出発式は20日夕、徳之島署駐車場であった。同署は、交通事故で障害を負った「車いす犬『ラッキー』」を育む愛犬家、徳之島町亀津の自営業島田須尚(すなお)さん(67)を「1日警察署長」に任命。島田さんは交通事故防止と併せ動物愛護もアピール。早速、街頭キャンペーンにも協力した。

 「ラッキー」は4年前、島田さんの不意を突いて軽貨物車から車道に跳び降りて他車にはねられ、脊髄損傷(後ろ脚麻痺)の重傷を負った。知人らは安楽死を勧めたが諦め切れず、沖縄の動物病院に2度の大手術を依頼。「四六時中の介護」の覚悟を決め、犬の車いすメーカーも探し当てて愛情を注いだ。

 島田さんの愛犬物語は、大宅賞ノンフィクション作家小林照幸氏が著書『車いす犬ラッキー―捨てられた命と生きる』(毎日新聞出版)でも全国に紹介中だ。

 出発式には地区交通安全協会や行政など関係者約100人が参加。亀津中吹奏楽部のオープニング演奏で開会し、有村和行署長が、ラッキーを伴った島田さんに「1日署長」辞令とタスキを交付した。

 島田さんはあいさつで、「ラッキーの姿を通して交通事故の怖さと命の尊さを島民の皆さまに伝えたい」。同日からの動物愛護週間(26日まで)にも絡め「自分たちの都合でペットを飼って、飽きたからと捨てられているのも現実」とも指摘。交通安全運動と併せ世界自然遺産に向けた社会問題の解決もアピールした。

 来島して出発式を見守った作家の小林氏は「動物愛護週間も始まった。交通安全と動物愛護の2つの観点からも教えてくれるものがある」と語った。島田さんらは街頭キャンペーンにも協力した。