徳之島・自然学ぶ

3人の専門家による講演で参加者は徳之島の自然について学んだ

「価値あるものと知って」

 

林道観察、専門家講演で自然学ぶ

 

 【徳之島】環境省徳之島自然保護官事務所とNPO法人徳之島虹の会は30日、徳之島町で、「森のエビフライとウサギのフン探し2017」と題して、同町林道山クビリ線の散策と専門家3人による講習会を行った。

 同林道散策には約100人が参加。▽アマミノクロウサギのフンを探す班▽ケナガネズミの松ぼっくりの食痕(通称森のエビフライ)を探す班▽世界自然遺産についての知識を深めながら散策する班▽林道に生える植物に注目する班―の4班に分かれ、それぞれ林道散策を楽しんだ。

 主催した同事務所の沢登良馬自然保護官は「島の将来を担うのは子どもたち。島の自然について興味を持ってもらいたいと思っていたが、実際多く参加してくれてよかった」と話した。

 終了後には同町山公民館で、沢登自然保護官、鹿児島大学島嶼教育研究センターの鈴木真理子研究員、宮崎大学フロンティア科学実験総合センターの城ヶ原貴通研究員からの講演があった。

 沢登自然保護官は「徳之島の自然~世界自然遺産登録に向けて~」と題し、同島の成り立ちや、希少な動植物を紹介。講演の中で「身の回りにありふれている自然が、実は価値あるものだと知ってほしい」と訴えた。

 鈴木研究員はアマミノクロウサギについて、外来種による捕食、観光による行動や生態への影響の可能性などについて講話。現状把握や、長期間にわたるモニタリングによる状況の変化に対応することの必要性を説いた。また会場から出た「クロウサギを人工的に増やすことはできないのか」という意見に対しては「生息環境を整えなければ、人工的に増やしても育つことができない」と答えた。

 城ヶ原研究員はアマミトゲネズミのⅰPS細胞をマウスの受精卵に移植する実験と、そのⅰPS細胞から生殖細胞を作る研究を紹介。新たに発見された事実や、アマミトゲネズミの細胞を持ったマウスを作ることにより、不明点が多いアマミトゲネズミの生態の研究に生かすことできると解説した。