精神障がい者の居住支援

各業界からの視点で精神障がいを持つ人の住居についての課題を語ったパネルディスカッション

宅建協交えてパネルディスカッション

 

地域自立支援協研修会

 

 奄美地区地域自立支援協議会(石神康郎会長)は5日、奄美市名瀬の奄美会館で研修会を開いた。宮崎県で精神障がい者の自立支援を推進する㈱アーバンエチュード代表の中武功見氏の講演があった後、精神科病院、宅建協会、行政の三つの視点から課題を語るパネルディスカッションが行われた。

 同研修会は障がい者をめぐる地域の課題などを各関係機関と情報共有し、ネットワークを構築することが目的。今回は約90人が参加し、講演や議論に耳を傾けた。

 中武氏は「地域に『住む』ということを考える~障がいのある人の住居について~」と題して講演。同社が宮崎県で行う▽居住支援▽生活支援▽就労支援▽相談支援―の包括的な障がい者自立支援の体制や、住宅確保支援モデル活動を紹介した。

 中武氏は精神障がい者などに偏見を持ち、敬遠する家主、不動産会社、地域住民が多いことや、住宅を借りるのに連帯保証人が必要なことなどを課題として列挙。それを踏まえた上で、▽地域包括ケアシステムの構築▽自立支援を通じた地域づくり▽官民一体となって生活相談や就労相談を行うサポートネットワークづくり―の3本柱で居住支援を目指したいとして講演を締めくくった。

 パネルディスカッションには奄美病院の吉村あゆみ精神保健福祉士、鹿児島県宅建協会奄美支部の師玉俊朗副支部長、奄美市保健福祉部保護課生活支援係の中村明広係長の3人がパネリストとして、中武氏が助言者として登壇。精神障がい者が賃貸を探す際の課題や解決法を討論した。

 吉村精神保健福祉士が、障がいを理由に入居を断られる事例を紹介し、入居が困難なことを説明する一方で、師玉副支部長は入居させることで想定されるトラブルを列挙。師玉副支部長は「家主が安心する条件として、入居後の支援員や相談員との連携が必要になる」と話した。

 また中村係長は生活保護給付金額と家賃がかみ合っていないことなどを問題として挙げ、「今後、支援するネットワークをどう作っていくべきかが課題。県の居住支援協議会などとの連携が必要になる」と語った。