戦争体験を聞き取り

高齢者に戦時中の体験談などを聞き取りした古仁屋高校3年の脇田さん

古仁屋高生、老人ホームで

 

現代との違いなど学ぶ

 

 瀬戸内町古仁屋の古仁屋高校(大山良一校長、生徒127人)の生徒たちが7日、町内の老人ホームを訪れ戦争体験などの聞き取り調査を行った。生徒たちは調査の結果をまとめて、同校の文化祭で発表予定。高齢者から戦時中や戦後の苦労話を聞いて、現代の自分たちの時代と違う点などを学んだ。

 同町は貴重な近代遺跡(戦跡)が多数あり、今年度から重要な戦跡の発掘調査を実施。聞き取り調査を企画した同校の米倉秀和教諭は、8月の安脚場戦跡公園の災害調査に参加していた。

 世界史を担当する米倉教諭が、3年生の世界史などを選択する生徒約20人に声掛け。生徒たちは聞き取り調査や戦跡を通して、同町での戦争の実態などを調べていくという。

 この日は、寿老園と奄美の園で聞き取り調査を実施。同町古仁屋の養護老人ホーム寿老園では、同校3年の脇田零樹さん(17)が80~90代の利用者男女7人に戦争体験などを聞き取りした。

 調査には、同町教育委員会の鼎丈太郎学芸員も同行。最初の2人は米倉教諭が聞き取りの手本を示し、脇田さんは調査の様子をビデオカメラで記録撮影した。

 調査された高齢者は、終戦当時は10~20代の多感な時期。戦時中の古仁屋の様子や、終戦後の食糧難(ソテツ地獄)など現代からは想像できない苦労をして来たなどの回答があった。

 当時の尋常小学校にあった奉安殿の話も聞き取り。徳田冨雄さん(88)は、「天皇陛下の写真(御真影)には、カーテンが掛けられていた。直立不動で最敬礼していた」など、調査で鼎さんも知らない新事実も判明した。

 陸軍に所属していた90代の男性は、戦時中に大阪24連隊に所属し朝鮮に駐留。当時は台湾と共に、内地(本土)扱いされていたので戦後になっても恩給は支給されなかったとした。

 脇田さんは大学に進学して考古学を専攻し、同町の戦跡研究を希望する。初めての聞き取りを終えて、「調査は難しくなかった。普通だった。攻撃された船が、爆発した体験談を聞いて大変だったと感じた」と語った。

 この日の午後は、特別養護老人ホーム奄美の園で同校生徒2人が聞き取り。調査の結果はまとめられて、28日開催の同校文化祭で発表される。