官民を挙げてIUCN一行を熱烈歓迎した3町長ら関係者=14日午前、徳之島空港
県道沿いにも歓迎幕を設置する徹底ぶり=14日、伊仙町で
【徳之島】「ウエルカム。ようこそ徳之島へ」―。世界自然遺産候補地の現地調査入りしている国際自然保護連合(INCN)の専門家2氏は14日、奄美大島からの日帰りで徳之島も調査した。徳之島空港到着ロビーでは、3町の町長を筆頭に行政当局や各町商工会、同島観光連盟ら関係者ら約70人が横断幕を掲げて熱烈歓迎して驚嘆させた。各町県道沿いにも掲示する徹底ぶりだった。
専門家のバスチャン・ベルツキー(ドイツ国籍)とスコット・パーキン(カナダ同)の両氏は、世界自然遺産候補地科学委員会メンバーや環境省などの随行で午前10時半すぎ、空路徳之島入りした。地元サイドの情熱的な歓迎ぶりに驚嘆しつつ、満面の笑顔で記念撮影にも応じるなど束の間の交流も楽しんだ様子。島内調査地やルートも非公開で行われた。
歓迎セレモニーの仕掛け人は、「小笠原諸島」の世界自然遺産登録(2011年6月)に先立ったIUCN現地調査の際、島を挙げて歓迎行事を開いていた事実を確認。ふるさとに資料提供していたNPO法人生命と環境保全ネットワーク(茨城県古河市)理事長で古河市議の四本博文さん(68)=伊仙町出身。そして島内で3町行政や商工会、観光連盟などに対して歓迎幕の作成や参集を呼び掛けたのは徳之島町商工会サービス部会長、観光連盟会員の藤田良範さん(69)。
藤田さんは「行政からは、あまり公にしてくれるなとの話はあった。気持ちは分かるが、われわれは世界自然遺産登録を勝ちとって島の経済を活性化させたいとの一点にある」。四本さんも「奄美大島は格安航空(LCC)バニラ・エアの運航で入り込みがすごい。徳之島は自然遺産登録が実現しないと沈んでしまうと思う」と指摘。「群島の祖国復帰運動ぐらいの気持ちで、この自然を守っていかなければならない。登録されると必ず観光客が来る。意識を高めていく必要がある」と強調した。