枯れた木が刺さり、窓ガラスが割れた民家。損壊箇所にはビニールシートが被せられた(奄美市名瀬古田町、22日)
強い風にあおられて、倒れたサトウキビ(奄美市笠利町土浜、22日正午ごろ)
23日明け方ごろ強風域抜ける見込み
奄美市名瀬で住家被害も
4島で最大5500戸停電
21日夜から22日午前にかけて超大型で非常に強い台風21号が奄美地方に接近した。人的被害はなかったが、住家被害が1件、最大約5500戸の停電が発生。名瀬測候所によると、奄美地方は23日の明け方から朝に強風域を抜ける見込みだが、同日昼前まではうねりを伴った高波への警戒が必要だという。
22日午後4時現在、台風は喜界島の東北東約540㌔にあり、時速40㌔の速さで北北東に進んでいる。中心気圧は945ヘクトパスカル。中心付近の最大風速は45㍍。最大瞬間風速は60㍍。中心から280㌔の範囲で風速25㍍以上の暴風が、中心から西側1300㌔、東側750㌔の範囲で風速15㍍以上の強風が吹いている。
気象庁によると、降り始めからの降水量(20日午前0時から22日午後4時まで)は▽笠利146・5㍉▽名瀬94㍉▽古仁屋54・5㍉▽喜界島195㍉▽天城20㍉▽伊仙50・5㍉▽沖永良部26・5㍉▽与論島33㍉。喜界島では21日午後3時54分までの1時間に47・5㍉の激しい雨を観測した。
風が強まった22日未明から明け方にかけては笠利で最大風速(最大瞬間風速)25・3㍍(31・9㍍)の非常に強い風を観測。このほかにも喜界島や沖永良部でも風速20㍍以上の風を記録した。同測候所によると、23日も奄美地方で18㍍(30㍍)の強い風、7㍍の高波が予想されているという。
台風の接近に伴い、県大島支庁は21日午後8時39分に災害警戒本部を設置。大和村、喜界町、与論町でも同日、同本部が設置された。喜界町は同日、小野津地区など(872世帯、1598人)に避難準備・高齢者避難開始情報を発令。2世帯2人が自主避難したが、22日午前には帰宅した。
奄美市名瀬古田町の民家では22日午前3時ごろ、同民家裏の斜面から直径約40㌢、長さ10㍍程度の枯れた木が滑り落ち、住家に侵入。窓ガラスなどを破損し、住家一部破損の被害となった。同民家に住む柳田重文さんは「窓ガラスが割れるガシャーンという音で目が覚めた。妻が寝ている場所のすぐ近くに丸太が突っ込んできたので驚いた」と語った。
また九州電力㈱奄美配電所の発表によると、奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島の4島で、最大約5500戸(22日午前9時)の停電が発生。22日午後2時9分、すべての停電が解消したが、同配電所は「今後も停電が発生する可能性がある」とした上で、「家庭への引き込み線の断線により停電している場合があれば、最寄りの九州電力に連絡してほしい」と呼び掛けている。