「喜界島の戦時中日誌」発刊

祖父・武重さんの日誌を書籍として発刊した平田静也さん

悲惨な様子克明に記録

鹿児島市の平田さん 祖父の体験活字に起こす

喜界島出身で現在、鹿児島市に住む平田静也さん(68)はこのほど、自身の祖父・武重さんの日記をまとめた「喜界島の戦時中日誌 太平洋戦争」を発刊した。武重さんの日記(1945年1月22日~同年8月16日)原本の写真と、活字に起こしたもので構成されており、戦時中の喜界島であった空襲などの悲惨な様子が克明に記されている。

同書は平田さんが95年に喜界島に帰省した際に故・武重さんの書棚から発見した「戦時中の日記抜粋」を書籍としてまとめたもの。武重さんは日記の中で、戦争を「あらゆるものの破壊」とし、悲惨さを記す一方で、米軍による墜落兵の人命救助を「真の人情美に感服」などと評価している。

45年5月9日の日記には次男の守利さん(当時2歳)を機銃掃射により亡くしたことが記されており、「悲惨な最後も軍の横暴の結果」と日本軍を憎む記述も見られる。また当時の日本軍施設の見取り図などの資料も添付されており、戦時中の喜界島の様子を様々な記録からうかがい知ることができる。

平田さんは「戦争の悲惨さ、平和の尊さを訴えるために学校や図書館に配布した。平和学習に生かしてほしい」と語った。

同書は喜界島と奄美大島の図書館や学校、公的機関で閲覧できるほか、両島の一部の書店などでの販売も行われている。平田さんは今後、大島郡内の図書館への配布や、要望があれば日記の朗読なども行っていきたいとした。