奄美市長選告示

支援者とともに支持の拡大を呼びかけた荒田氏陣営

20171112 朝山氏出陣式
来場者全員でガンバロー三唱し気勢を上げる朝山氏陣営

現職、新人が立候補

 

市政継続、刷新問う戦いスタート

 

 任期満了に伴う奄美市長選挙は12日、告示された。新人の市民団体役員の荒田まゆみ氏(69)と、3期目を目指す現職の朝山毅氏(70)、の2人が立候補=いずれも無所属、届け出順=した。19日に投票、即日開票される。前回は無投票だったため8年ぶりの選挙戦。世界自然遺産登録を見据えた観光など関連産業の振興や少子高齢化に対応する福祉の充実のほか、公共事業整備の是非などを争点に市政継続、刷新を問う7日間の戦いがスタートした。

 荒田氏は10月の記者会見で「市民団体活動を通じ、市民の疑問や要望を真摯に受け止めない現市政の姿勢に疑問を感じた」と出馬の経緯を説明。政治団体「奄美をよくする市民の会」を立ち上げ、▽医療費補助による子育て支援▽第一次産業、観光などの産業振興▽高齢者・身障者向け社会福祉―などを公約に準備を進めてきた。陸上自衛隊配備については、ミサイル設備を持ち込ませない、大規模訓練禁止など計画見直し。おがみ山バイパス事業の計画中止を目指し、環境調和を重視した住民目線での政策推進を訴える。

 現職の朝山氏は今年3月定例議会で「次の夢の実現に向け、努力したい」と出馬の意向を示した。行財政の改革・安定化、雇用促進対策、公共大型プロジェクトの着手など2期8年の実績を掲げ、10月の会見では「地域発展に向け、さらなるステップアップを目指していく」と抱負。選挙戦に向け、▽世界自然遺産登録(来夏)による観光振興▽農林水産業の振興▽凍結中のおがみ山バイパス事業の促進▽情報産業と連動した雇用拡大―など各施策の推進を公約に、奄振法延長や進行中の公共事業の完遂を掲げている。

 荒田氏は、子育て世代の支持の広がりを見据え、女性団体、市民レベルのネットワークを生かしながら草の根的な活動を展開中。支援政党、関係団体とともに票の掘り起こしに奔走する。一方の朝山氏は、自民、公明両党の推薦、支持する市議会議員団(21人)、友好団体からの支援を背景に、現職の強みを生かし市内各地での支持固め、支持拡大につなげていく構えだ。

 今回の選挙は現職の政権継続に対する信任投票となる様相。今後の入込増を見据えた観光産業の推進、地域雇用の促進、深刻化する少子高齢社会の福祉対策を重視する点で大きな争点は見られない。それに対し公約は、公共事業を基軸にした地域振興の方向性で相違する。荒田氏はおがみ山バイパス事業など大規模造成事業の展開、陸自配備計画について計画の見直しなどを挙げ、朝山市政との政策の違いアピールで選挙戦を展開している。立候補者それぞれの訴えに有権者はどう審判を下すのかが注目される。

 期日前投票は、きょう13日から18日までの6日間。各地区庁舎内(名瀬=港町仮庁舎、住用・笠利=総合支所)で受け付け。投票は市内33カ所で19日午前7時から午後6時まで。同8時から名瀬小学校体育館で即日開票される。

 市選管によると選挙人名簿登録有権者数は11月11日現在、3万6237人(男1万6967人、女1万9270人)。