新川再生プロジェクト

将来を担う小学生や高校生も参加し活発なパネルディスカッションが行われた

森と海 つなぐ役割学ぶ

 

外来種捕獲やシンポ

 

 新川再生プロジェクト実行委員会(実行委員長・新納誠人奄美中央ロータリークラブ会長)は12日、奄美市名瀬の新川周辺と宴集会場で新川再生プロジェクトの観察会とシンポジウムなどを行った。環境学習とパネルディスカッションなどを通して、参加者は外来種が自然環境にもたらす影響や、森と海をつなぐ河川の役割を学んだ。

 同プロジェクトは、国際ロータリー2730地区補助金事業で開催。10月に実行委員会を立ち上げて、観察会やシンポジウムに向けて3回協議を行ったという。

 午前中は新川大高橋周辺で、環境学習会と外来種捕獲調査(コイの捕獲と引っ越し)を実施。講師を奄美リュウキュウアユ保全研究会の米沢俊彦さん、奄美海洋生物研究会の興克樹さん、奄美自然学校の永江直志さんが現地での指導助言を行った。

 午後からは、場所を宴集会場に移動しシンポジウム、パネルディスカッションなどが行われた。シンポジウムに米沢さんと興さん、「とびっきりまちづくり塾」の半田ゆかりさんが登壇し、奄美の水生生物や新川の移り変わりなど講演した。

 米沢さんは奄美に淡水魚類が230種いて、約3割(65種)が希少種と指摘。リュウキュウアユは絶滅してしまうと二度と姿が見られなくなる種とし、その保護を呼び掛けた。

 興さんは奄美大島の河川の生物調査で、淡水のカメ類(スッポンなど)やナイルティラピアなど外来種の侵入を確認。午前中に捕獲したコイについて、「全長は約60㌢、体重4㌔ほど。新川の貝類をたくさん食べている」として、水生生物モニタリング調査の継続実施を訴えた。

 半田さんは、古地図からカネク(金久)と新川下流のイフ(伊津部)の地形を紹介。「砂州からできたカネクは早くから開け、イフは水はけが悪く開発が遅れた地域」と指摘した。

 シンポジウムに次いで、実行委員会の重信千代乃事務局長がコーディネーターとなりパネルディスカッション。奄美こども環境調査隊に参加した小学生や大島高校生物部の生徒、久里町自治会長なども登壇して、外来種の問題やふるさと奄美の川のあり方を考えた。

 米沢さんと興さんは、パネルディスカッションに助言者として参加。子ども環境調査隊の麓宙弥くんは沖縄視察を踏まえて、「奄美でサンゴの人工増殖を大人と一緒にやりたい」。同じ調査隊員の中津川結大くんは、「外来種予防3原則を周りに教えたい」と発表した。

 各パネラーの意見交換があり、プロジェクトについて興さんは、「良い機会だった。今後もみなさんと一緒に再生に進んでいってほしい」。米沢さんは、「新川は都市河川にしては、水質が良くて生きものが多い。再生に向けて地元の合意形成へお互いの理解が大事」と語った。