ドローン医療に活用

ドローンを使った搬送の実証実験が実施され、機体(右上)から医療資機材を想定したボックスが地上に降ろされるところ

緊急物資運ぶ想定し実証実験

 

大島郡医師会など

 

 大島郡医師会(向井奉文会長)などは13日、無人航空機(ドローン)を使って、医療資機材などを搬送する実証実験を行った。救急・災害医療に関わる各専門職等が参加。離島へき地などへ必要な緊急物資を運ぶことを想定し、直線距離で約0・8㌔から1・2㌔離れた2区間で機体を飛ばして、物資の送受を検証した。今後運用をはじめ、奄美地域の医療課題の解決に向けて、引き続き協議を進め、関係機関の連携強化も図っていく。 

 実験には、同医師会会員ほか県大島支庁、大島地区消防組合、奄美海上保安部などから関係者約30人が参加。産業用ドローンの開発などを手掛ける㈱エンルートラボ(本社・埼玉県)のスタッフが、無人機を操縦した。

 奄美市名瀬の県立大島病院救命救急センターヘリポートから離陸させ、直線約800㍍先の名瀬ヘリポートまで、時速約20㌔で自動航行。目的地に着くと一定の高度まで機体を下降させ、ひもに吊り下げられたボックスを地上に着地させた。

 同市名瀬長浜町の名瀬観光船バースから約1・2㌔離れた、佐大熊ヘリポートまでの搬送も同様に実施。大島地区消防組合の職員が、到着した物資を受け取り、医療現場に向かう想定も確認した。

 今回使用した機体は同社のLAB695。防滴仕様、時速60㌔での航行も可能。夜間の飛行にも対応している。現在のところ、運用した場合、重量4㌔までの物資等を片道17~18㌔区間搬送することを想定しているという。

 医療現場でのICT(情報伝達技術)やIOT(モノがインターネットとつながる仕組みや技術)の利活用による課題解決策等を検討する活動などのために設置された「地域医療ビジョン×未来投資」勉強会の外部委員も務める、東京大学大学院研究員の横田勝彦さんは「このようにドローンを囲み、関係機関の人らが集まった機会は奄美で初めて。機体を運用する人、またその周りの人との連携や奄美地域にあった機体の検討にもつながっていくだろう。実証にとどまらず、各課題への方策も考えていきたい」などと話した。