両陛下笑顔で帰途に

飛行機に乗り込む前、見送る住民に手を振り応える両陛下=18日午後2半ごろ、沖永良部空港=

1118天皇行幸啓最終日②
テッポウユリを栽培する平秀徳さん(左端)のほ場を訪れた両陛下(知名町提供)=18日午前10時20分ごろ、同町=

行幸啓最終日

 

ユリほ場や日本一のガジュマル視察

 

 【沖永良部】天皇、皇后両陛下は18日、テッポウユリを栽培する花き農家のほ場や日本一のガジュマルがある和泊町立国頭小学校を視察した。和泊町役場議会議事堂で伊地知実利和泊町長らと会食後、午後2時40分、特別機で沖永良部島を発ち、3日間の行幸啓を終えた。

 午前10時すぎ、両陛下は知名町赤嶺で沖永良部特産のテッポウユリを栽培する平秀徳さん(65)のほ場を視察した。今回の行幸啓にあたり、宿泊先のホテル前や沿道のユリの花は、平さんのほ場で栽培した球根を町に提供した。

 両陛下は、ほ場をゆっくりと歩き、平さんに栽培方法を質問したり、花に顔を近づけ香りを確かめたりしていた。

 平さんは「本当にありがたい。皇后さまから『純白で香りがよいですね』と声をかけて頂いた。現在、切り花の出荷時期を迎えているので、地元でえらぶゆりをお見せすることができてよかった」と話した。

 同11時ごろ、和泊町立国頭小学校を訪れ、同小第1回卒業生(1899年)が植えた樹齢110年を超すガジュマルをご覧になった。幹回り約8㍍、円形に広がる枝振りは直径23㍍ほどある。森田郁朗校長がガジュマルの大きさや木の下で行う緑陰読書などの様子を説明した。両陛下は、ガジュマルの幹まで近づき、そこから木全体を見上げていた。

 また、同小の児童らが、昔ながらのサタグルマを使った黒糖づくりと民謡「永良部百合の花」の合唱を披露した。

 その後、和泊町役場議会議事堂で会食を行い、両陛下は伊地知町長にユリの歴史や島の産業について質問されたという。

 午後2時10分ごろ、両陛下は沖永良部空港に到着。和泊町長寿クラブ連合会のメンバーや町内子ども園の園児ら約300人が見送った。子ども達が「天皇陛下、美智子さま」と数回にわたり大きな声で呼びかけると、両陛下はその度に振り向き、笑顔で手を振った。

 行幸啓を振り返った伊地知町長は「両陛下を迎えることができて感動の3日間だった。島民も幸せだったと思う」と語った。

 行幸啓最終日も、多くの島民がもう一度両陛下の姿を見ようと沿道に詰めかけた。この日だけで9300人が小旗や手を振り迎えた。県の発表によると、屋久島を含めた3日間の一般奉送迎者数は計3万6400人(沖永良部島2万3600人、与論島5千人)に上った。