シンポジウムでは講師6人によるパネルディスカッションも行われた
奄美が誇る「うた文化」を様々な視点から考える鹿児島大学重点領域(島嶼)シンポジウム「島の声、島の歌」(鹿児島大学国際島嶼教育研究センター主催)が19日、奄美市名瀬のAiAiひろば2階で開かれた。同シンポジウムは奄美の島唄や八月踊り、新民謡やポップスなど過去・現在を掘り下げ、未来へ向けて考察を深めて行くもの。会場に詰めかけた約80人の参加者らは、奄美うた文化の第一人者らの声に耳を傾け、奄美文化の奥深さを学んだ。
同大学主催のシンポジウムは2005年の「しまうたの未来」以来12年ぶりの開催。シンポジウムは、奄美の芸能やメディアで活躍する唄者や学者など6人の講師を招き、同大と映像中継が結ばれ行われた。
シンポジウムの冒頭、同大・前田芳實学長があいさつで、アメリカでの体験に触れ、世界に通用する島唄のパワーや魅力が解説された。前田学長は今後の島唄継承への協力継続も約束し、シンポジウムがスタートした。
同大法文学部の梁川英俊さんは「鹿児島の奄美、ブルターニュの奄美」をテーマに講演。古い民謡が残るフランス・ブルターニュ地方と奄美を比較し、歌が情報伝達のために発展してきたこと、ブルターニュの夜祭りで歌われる歌掛けなどを示し奄美との共通性や類似性を探った。
続く、島唄研究家の小川学夫さんは「島唄レコードの制作秘話」をテーマに、当時の粗雑な録音環境や唄者の個性などを振り返り、思い出や裏話を述べた。
この他、㈱セントラル楽器・指宿正樹代表取締役が「奄美紅白歌合戦よもやま話」を、NPO法人ディ・麓憲吾代表理事が「奄美のうた文化とラジオ」。唄者・前山真吾さんは浦上での八月踊りの復興までを物語形式で、唄者・シンガソングライターの楠田莉子さんは梁川さんとのインタビュー形式で自身のエピソードを語った。
この後、講師6人によるパネルディスカッションに演題を移し、「新しい島唄づくり」への挑戦など多彩な話題で盛り上がった。質疑応答では「資料化を進める機関の必要性」や「奄美での島唄と女性の優位性」など意見や質問が出され、シンポジウムは盛況のうちに幕を閉じた。