車座ふるさとトーク

瀬戸内町で行われた「車座ふるさとトーク」で参加者にあいさつをする秋元国交副大臣(写真中央)

国交副大臣と住民意見交換

 

UIターン、観光客受け皿課題

 

瀬戸内町で

 

 閣僚らが政策や地域課題について住民と意見交換を行う「車座ふるさとトーク」が19日、瀬戸内町の同町役場で開かれた。今回は「奄美地域の観光振興の取り組み」をテーマに秋元司国土交通副大臣と住民らが輪になって座り、活発な意見交換を行った。

 車座ふるさとトークは、政府が国民の生の声を政策に生かすための取り組み。大臣、副大臣、大臣政務官が地域に出向き、テーマを決めて現地住民と対話を行うもの。2013年2月の徳島県での開催を皮切りに、全国各地で行われている。奄美群島では初めての開催で、鹿児島県では4回目となった。

 住民側からは、同町観光大使の永井しずのさん、同町商工会の政岡博重会長、元地域おこし協力隊で農家の籾山育代さん、せとうち創生プロモーターで同町観光大使の緑健児さん、奄美せとうち観光協会の松村保宏会長、同町地域おこし協力隊の小林光一さん、㈱ねりやかなやの山腰真澄代表、西平酒造㈱の西平せれなさん、㈱奄美群島環境文化総合研究所の小池利香代表取締役の9人が参加した。

 開会後、秋元副大臣は「訪日外国人観光客が増加し続ける中、日本全国で観光客を受け入れる体制を作り、新たな観光政策を打ち出さなければいけない。これから先、奄美で観光客を受け入れていくのに何が必要かということを皆さんと話し合い、ざっくばらんな意見をもらいたい」とあいさつした。

 参加者からは、▽加計呂麻島など飲食店が少ない▽屋久島、奄美、沖縄をつなぐ海のルートを実現してほしい▽町内に団体観光客が宿泊可能なホテルがない▽交通機関が発達していないので短期間では、群島全体を楽しむことができない▽サービス業に従事する担い手がいない―などの意見や要望が寄せられた。これに対し、秋元副大臣は利用可能な制度や先進事例などを紹介し、「皆さんから受け取った意見はしっかりと生かしていきたい」と語った。

 山腰代表は「空き家は多いが持ち主不明の場合が多い。また登記に資金がかかるために登記上の持ち主以外が管理している場合が多く、貸すことができない。空き家整備はうまくいっていない」と発言。また永井さんが「観光客が来ても宿泊先がないという理由で諦める場合がある。今ですら(宿泊施設が)足りないのに、世界自然遺産に登録されればもっと足りなくなるだろう」と語り、UIターン希望者、観光客の受け入れ態勢への議論が深まった。

 終了後に秋元副大臣は「政府として地方創生や観光振興に力を入れているが、UIターン者や観光客の受け皿がない状態にあるという印象を持った。現場との呼吸を合わせ、地域と国とが連携を取っていかなければいけない。地域に残りたい人が残ることが出来るような産業をつくる必要性があり、一歩進んだ政策を考えていきたい」と語った。