経済同志会で講演した西郷隆盛研究家の安川あかね氏
奄美経済同志会(会長・有村修一有村商事㈱社長)は20日、奄美市名瀬の宴集会場で秋季例会をした。講演会と懇親会を開き、西郷隆盛研究家の安川あかね氏の講演「西郷隆盛に魅せられて~なぜ時代を超えて愛されるのか~」が行われた。
安川氏は神奈川県横須賀市生まれで、20歳の頃に父親の影響で『西郷隆盛』(海音寺潮五郎)を読み西郷に傾倒。全国各地の西郷に関する史跡を巡り、27歳で鹿児島に移住した。
西郷のプロフィールとして「菊池源吾」や「大島三右衛門」など、生涯に何度も名前を変えたことを紹介。「奄美で結婚した愛加那が西郷の髪をすきながら抜けた髪を集めていたため、後の調査で血液型はB型と判明した」というエピソードなど披露した。
安川氏は奄美に何度も来ているが、今回初めて龍郷町龍郷の愛加那のお墓参りを実施。また4月に開館した同町の生涯学習センターりゅうがく館の西郷関連の展示コーナーも見学したという。
西郷は安政の大獄で幕府から追われていた僧・月照を連れて、薩摩に逃避行。薩摩藩は「日向送り」を命じ、西郷は月照と入水自殺を図ったが西郷だけ蘇生し奄美大島に島送りされた。
島津斉彬や両親、月照など周りの人の死で西郷は気落ちしてうつ気味に。「奄美大島で愛加那と結婚して家庭を持ち、英気を養った3年間は幸福な時期だっただろう」と語った。
安川氏は沖永良部島の復元された牢屋も訪問し、牢屋の中で1日過ごす体験に挑戦。西郷は許されて沖永良部から戻る時に、当時喜界島に島流しされていた村田新八を伴い薩摩に帰ったという。
西郷が人々に愛されるのは、「敬天愛人」に尽きるだろうと示唆。「若い頃に夢や目標を持たなかった自分は、西郷を知り日本はすばらしいと感じた」。
安川氏は、「先行きが見えず混とんとしている状況なので、西郷が大河ドラマになるのだろう」「西郷という存在は、日本人の純粋な道徳心のかたまりだったのではないか」と話した。