与論島製糖、年内操業へ

台風による被害で倒伏が目立つ奄美市笠利町のサトウキビ

平成に入り初 ハーベスタ不足に対応

 

富国は年明け 台風で倒伏目立つ

 

 2017年産(17~18年期)サトウキビの生産見込みが県大島支庁から発表されたが、奄美群島にある大型製糖工場(5社)のうち3社は操業計画を固めている。年内操業は与論島製糖㈱も決定、平成に入ってから初めてとなる。ハーベスタによる収穫作業が計画通り進まず前期、操業終了が5月までずれ込んだことから、操業を早めることで改善を図る。

 12月10日の操業開始を決定しているのは沖永良部島の南栄糖業㈱。生産量見込みは前年比1万3千㌧減の8万2千㌧。夏植は概ね順調に生育しているが、春植・株出は植付けや管理作業の遅れ、7~8月の干ばつの影響で不良に。台風の被害で登熟の遅れも懸念されており、品質に影響が出そう。

 与論島製糖の操業開始は12月15日に決定。生産者、ハーベスタによる収穫作業を請け負っている受託業者からの強い要望で決定したという。与論島の生産量見込みは2万4千㌧(前年比7千㌧減)。量が増えないのに年内操業に踏み切るのは、ハーベスタ台数の関係。年明け収穫・操業だとハーベスタ台数が「2台ほど足りない」ため作業が計画通り進まないことから、理想的な3月いっぱいで製糖終了となるよう年内操業に踏み切ることになった。

 操業終了が計画より1カ月以上もずれ込んだ前期は、手刈りと機械収穫とのバランスも崩れた。「与論島は面積が少なく量の増加が見込めないことから、受託業者もハーベスタの台数を増やせない。操業開始を早めることで計画的な作業に対応していきたい」(与論島製糖)。なお、品質面は干ばつが長期化した中で9月中旬の雨により「若返り」(登熟低下)、10月の台風22号で葉が飛ぶなどの被害で2回目の「若返り」(同)が発生。甘しゃ糖度が低下している。

 奄美大島の富国製糖㈱は2万6500㌧の生産量を見込む。操業開始はまだ決定していないが、例年通り1月上旬となる見通し。最も面積がある奄美市笠利町のほ場では、台風22号により倒伏したサトウキビが目立つ。「キビが倒伏しているとハーベスタが入りにくい。作業に影響するのではないか。品質面では他の島よりも青葉が残っているものの登熟の低下が心配。ただ、急に寒くなったことで持ち直しを期待したい」(富国製糖)。

 群島最大の産地・徳之島にある南西糖業㈱は前期、12月8日開始と年内操業、生産量は6年ぶりに20万㌧台回復(実績は22万2千㌧)した。今期、大島支庁の生産量見込みは18万9千㌧と再び20万㌧台を割り込む予想。同社徳之島事業本部は、24日に運営企画委員会が開かれ操業時期を協議、生育状況に基づいた生産見込み量も発表されるとしている。

 喜界島の生和糖業㈱は前期、12月18日開始と2期連続で年内操業した。今期の操業時期はまだ決定しておらず、12月4日にある町のサトウキビ生産振興大会で報告される見通し。生育状況は2週連続の台風が影響。「1回目の台風で右へ、2回目は左へキビが倒れ、折損や葉が飛ばされたものもあり成長が止まった。量・品質面への影響が心配されている」(生和糖業)。