天皇皇后両陛下が、11月16日から18日にかけて、沖永良部島と与論島を訪問された。各関係者から、両陛下の温かい配慮に感謝の声が相次いだ(18日、空路で沖永良部島を出発される両陛下)
天皇陛下の退位の日程について、衆参両院の議長、皇族から意見を聞く「皇室会議」が1日開かれ、退位日を2019年4月30日とする意見を決定した。11月、行幸啓で天皇皇后両陛下は、沖永良部島と与論島を初めてご訪問。今回の決定について両島の関係者からは、改めて両陛下の来島、これまでの公務に対する感謝の声が各所から聞こえた。
1日午前に、非公開で会議は行われた。山本信一郎宮内庁長官、皇室から常陸宮さま、常陸宮妃華子さま、政府関係者では菅義偉官房長官、衆参両院の議長なども出席。天皇陛下のご退位日を決める前提として、安倍晋三首相が意見を聞いた。
会議で、19年4月30日に陛下が退位すべきだとの意見を決定。「4月30日の退位―5月1日皇太子様即位・改元」の日程が固まった。
天皇皇后両陛下は、11月16日から18日までの日程で、鹿児島県の3島をご訪問。沖永良部島と与論島にも来島され、両島の伝統文化、産業などに触れられた。また、各訪問先で関係者や地元住民らの出迎えに対し、にこやかなお顔で、手を振られてお応えになった。
天皇陛下の退位日の日程が固まったことを受け、奄美新聞社は、3町の首長などに取材。伊地知実利和泊町長は「ご在位中にご訪問いただき、大変ありがたく、感激の3日間だった。各地で出迎えた住民も異口同音に『幸せだった』と言っていた。私たちにも向けてくださったあの優しさをいつまでも持ち続けていただけたら、大変ありがたい」と話した。
与論町の山元宗町長は「ご訪問中にあちらこちらに手を振られる様子など国民に対する真心をひしひしと感じた。公務では被災地域なども回られ、気苦労など大変だったと思う。退位後はゆっくりお休みになっていただきたい」。平安正盛知名町長も「良い思い出を作っていただいたことに感謝。両陛下がお帰りになられる時に『ありがとうございました』とのお言葉もありがたかった。天候の影響で、中止の可能性があった提灯(ちょうちん)奉迎ができたことが最も印象に残っている」などと両陛下の来島に対する感謝の気持ちを語った。
このほか、国の重要無形民俗文化財「与論の十五夜踊」を披露した、同保存会の黒田茂實会長は「先人が守ってきた踊りを両陛下にお見せできて光栄だった。与論島を広めることにもつながり、島民みんなうれしくありがたく思っている」。沖永良部島の特産テッポウユリのほ場を案内した、生産農家の平秀徳さんは「長い間のご公務に対し『大変お疲れさまでした』と感謝の気持ちで一杯。これからも、島の宝のエラブユリ(テッポウユリ)に親しんでいただけたらありがたい」と話した。