知名町長選挙 今井氏が初当選

初当選を果たし喜ぶ今井氏=3日午後9時53分ごろ=

「町政一新」選択

 

投票率88・92% 栄氏に392票差

 

 【沖永良部】任期満了に伴う知名町長選挙が3日投開票された。新人で前知名中学校長の今井力夫氏(60)が2278票を獲得、前副町長の栄信一郎氏(61)と元会社役員の山本誠氏(60)=いずれも新人、無所属=を破り、初当選を果たした。現職の平安正盛氏(71)の勇退表明で、20年ぶりの新リーダーを決める選挙に住民の関心は高く、投票率は88・92%に上った。平安氏の後継となる栄氏に対し、有権者は「町政一新」を掲げる今井氏を選択した。

 投票は午前7時から午後6時まで町内5カ所で行われた。午前9時現在の投票率は13・56%で前回(16・57%)を約3ポイント下回ったが、午後から徐々に伸び、期日前(投票率38・01%)の1922人分を合わせた最終投票率は前回(86・83%)を上回る88・92%となった。

 開票作業は午後8時から中央公民館であった。同8時40分の中間発表では、今井氏と栄氏が200票ずつで並び、山本氏は100票だった。同9時40分の最終発表で、次点に392票差をつけ今井氏の当選が決まった。

 今年3月末に知名中学校長を定年退職した今井氏は、8月の会見で「激動の時代を生き抜くためには大きな変革が必要」と述べ、出馬を表明した。

 現町政について「20年間、町を引っ張ってきた功績は非常に大きい」と評価したが、中学校の生徒数減少に対する教育行政や農産物の販路開拓、農業技術における情報提供などの対応不足を指摘。公約に▽子育て支援と人づくりの町づくり▽高齢者や障がいのある方々に優しい町づくり▽潤いと活力ある町づくり▽町民が主役の安心・安全な町づくり―の4項目を掲げた。

 出馬表明前から町内であいさつ回りを行い、表明後も各集落で積極的にミニ集会を開き、知名度アップと政策の浸透を図ってきた。選挙戦では、第一公約に挙げた子育て支援を前面に打ち出し「知名町の復活には、ストップ・ザ・人口減少しかない」と訴えた。

 今井氏は知名中学校長時代、スポーツ大会の地元開催や島内小中高の教諭と連携した「科学の祭典」を実施。このほか、保護者から借りた畑で生徒とともにバレイショを生産・販売して大会遠征費を捻出するなど、離島の教育環境の改善に努めてきた。結果、同校区または町内全域の保護者らを中心に支持を得た。

 栄氏は、現職の平安氏の後継として8月に出馬を表明。5町議や20を超える町内企業の支援を得たが、及ばなかった。

 山本氏は「行政改革と経済再生」をスローガンに商店街の活性化などを訴えるも、226票にとどまった。

 ▽当日有権者数=4984人(男2512人、女2472人)▽投票者総数=4432人(男2247人、女2185人)▽有効投票総数=4390票、無効42票▽投票率=88・92%(男89・45%、女88・39%)