北高の聞き書きサークル

みんなで話し合いストーリーを模索する北高生徒たち

DSTワークショップ

 

1~2分映像で地域表現

 

 奄美市笠利町の大島北高校(新山剛校長、96人)は2日、地域住民から体験談などを聞き取り、1~2分のビデオメッセージを創作する「高大連携・聞き書きサークル・DSTワークショップ」を同校の総合実践室で行った。同ワークショップには自己語りのメディア実践表現である米国発のデジタルストーリーテリング(以下DST)の手法を採用。生徒らは地域の長老の話や当時の出来事をもとに、自分らしい表現を模索しながら映像制作に取り掛かった。

 同サークルは、奄美を代表する考古学者の故・中山清美氏の発案がきっかけで始まり、地域の人の昔の話や体験を聞き取り冊子にまとめる活動を続けており、DSTによる映像制作は今回が2回目。聞き取り調査は今年8月に赤木名地区・手花部地区で行われ、映像制作に向け準備が整えられた。

 また講師には、広島経済大学経済学部の土屋祐子准教授と重野裕美准教授、琉球大学・白田理人特別研究員の3人を迎え指南を受けた。

 まず、メディア論を専門とする土屋准教授から、DST絵コンテ台本の編集方法が説明された。前提条件として▽決まりきった言葉は使わない▽本人の個性や着眼点が大切▽3枚のストーリー構成シートを使う―などポイントが解説された。

 生徒らは同シートを使い、大事なことや伝えたいこと、それを何度も反すうしテーマを設定。講師のレクチャーや生徒同士でアドバイスし合い、それぞれの内容やストーリーを決定した。

 2年D組・西和音さんは当初の予定を変更し、八月踊りに潜む唄や方言をテーマに据えた。同A組・成瀬茉倫さんは奄美の文化をより広く発信する方法として英語での表現を選択し、それぞれがストーリー制作に取りかかった。

 同校・樋之口仁教頭は「奄美の人それぞれにいろいろな過去があり、生徒たちがどう表現できるか楽しみ」と語り、また取り組みを始めた中山氏に敬意を表し「先生の遺志はしっかり受け継いで行きたい」と話した。

 なお、3日はナレーション録音などデジタル作品を仕上げ、今月10日の笠利町フェスティバルで10作品程度を発表する予定となっている。