ゲート施錠規制が濃厚視される徳之島町林道「山クビリ線」(花徳側入口)
関係集落代表も出席した今年度第1回「徳之島利用適正化連絡会議」=11日、徳之島町役場
【徳之島】世界自然遺産登録による観光客増を見据え、自然環境の保全と質の高い自然体験の提供を協議する2017年度「第1回徳之島利用適正化連絡会議」(県主催)が11日、徳之島町役場であった。同町北部の林道「山クビリ線」について県側は、「管理者(町)によるゲート施錠を含め、一定のルール下での持続的利用が望ましい」との素案も提示。地元からは「集落の意向も十分に聴いて検討を」など要望もあった。
関係機関と、林道「山くびり線」(同町轟木―花徳―山集落約12㌔)の関係5集落や共有林管理組合、エコツアーガイド連絡協議会など団体代表ら交え約30人が出席。県自然保護課の栗栖隆典主幹は「IUCN(国際自然保護連合)の評価を受けて来年6月下旬~7月上旬、ユネスコ世界遺産委員会で登録可否が。観光客の増加も予想され、受け入れ環境を整える必要が」。徳之島サイドのモデル地区に位置づけた山クビリ林道の利用適正化協議を要請した。
林道山クビリ線の現状は、80年以上の高齢林がまとまって存在し、希少野生動物が多く生息・生育。林道周辺は集落林や国有林。利用目的としては、希少種の盗掘・盗採防止パトロール、ノネコ・希少動物の調査、イノシシ猟、自衛隊慰霊碑参拝、ハブ捕獲、林道の管理、ナイトツアーなどがある。現在、イノシシ侵入防止ゲート(無施錠)と自動撮影カメラを設置中。
現状と課題では、①夜間の車両通行増に伴う、アマミノクロウサギなどの殺傷、振動・光などによる生息環境の悪化②利用者増に伴う希少植物の盗掘や損傷③狭い林道で多くの車両が通行することによる危険性④利用者の増加・集中による利用体験の質の悪化―などを提起。
小笠原を例に、徳之島でも来島者数の増加を見据えた「予防的な対策が重要」。その上で「一定のルール下で持続的に利用。制度を運用しながら継続的に議論し、結果をフィードバック(順応的管理)して改善していくことが望ましい」と強調。
叩き台の素案に、「ゲート施錠し、鍵は林道管理者(町)が管理」(規制対象は車両・バイク・自転車・徒歩の全て)。申請不要者は、土地所有者や森林施業・農作業―など案も例示した。
関係集落や共有林管理組合長からは「門松用植物の採取、桜の花見などには無条件で入れるようにして欲しい」、「生活の場になっており、集落の意向を十分に聴いて欲しい」など意見も。
全般的には県素案を支持する意見が支配。第2回会議(2月)で課題解決に向けて議論する。