2018年3月に香川県で開かれる「第37回全国高等学校空手道選抜大会」の出場を決めた徳之島高空手道部
徳之島高校空手道部は、先月25・26日に大分県で開催された、第37回全九州高等学校空手道新人大会=第37回全国高等学校空手道選抜大会予選(全九州高体連共催)に出場。南ブロック(4県対抗)女子の団体形で準優勝、団体組手で5位に入った。また、女子個人形では嶺山歩美(2年)が準優勝を飾るなど、3種目それぞれで来年3月に開かれる全国選抜大会の出場を決めた。1988年に全国選抜の舞台にデビューして以来、途切れることなく30年連続出場という快挙を達成した。
別府市のべっぷアリーナで行われた九州大会。全国大会予選も兼ね、北と南の二つに分かれ、徳之島は南ブロック(沖縄・宮崎・大分・鹿児島)の各県代表校、選手らと全国の切符を争った。奄美からは、徳之島と大島2校が出場した。
選抜の出場権を獲得するためには、ベスト4以上に進出するか、準々決勝の敗退4チームによる5位決定戦を勝ち抜かなければならない。女子の団体組手、徳之島はいったんトーナメント戦で敗れたが、決定トーナメントで2連勝し、形に続き全国選抜出場をつかんだ。
女子主将の祷みなみは「『連続出場が途切れないように』という大きなプレッシャーもあったが、出場を決めることができた。紀野先生に感謝しかない。まずは、全国に出場することで恩返ししたいと思っていた」と大会を振り返るとともに、「昨年団体形で出場したが、1勝もできなかった。今回は、上を目指してがんばりたい」と全国選抜大会に向けた意気込みを語った。
第37回全国高等学校空手道選抜大会は2018年3月27・28日、香川県(会場・高松市総合体育館)で開催される。
教え子ら関係者も祝福
「紀野さん指導のおかげ」
「全国で勝つこと目標に」
徳之島高空手道部は、前身の同好会が昇格して1978年に創部。87年の九州大会で上位入賞を果たし、創部10周年を迎えた翌年、第7回全国高等学校選抜空手道大会に初出場した。その後も全国常連校として、出場を重ね、97年の第16回大会では、女子団体形で3位入賞という堂々の成績を残した。
同部のこれまでの歩みには、創部以来部員を指導してきた紀野宏繁さん(68)の存在が大きく関わっている。紀野さんは、自身が立ち上げたスポーツ少年団「敬空館亀津」で、児童生徒への指導も行ってきているが、小中高と一貫し、紀野さんから指南を受ける(受けた)部員は決して珍しくない。
今回、連続出場記録を節目の30回に伸ばし、教え子など関係者も喜びを隠さない。部として紀野さんから直接指導を受けるきっかけを作った一人が、前元克也さん(55)=東京都在住=。創部した78年ごろ、ほぼ経験の浅い部員ばかりだったが、公式戦出場を目指し、紀野さんに指導を依頼することになったという。
当時1年生だった前元さんが回顧する。「主将と、お願いに行ったら、すぐに快諾してくれた。それまではルールも良く分かっておらず、当時ヒーローだったブルース・リーの真似事のようなことをしていた(笑)。とにかく、紀野さんに熱い指導をしていただき、感謝の思いしかない」。
紀野さんの教え子の1人、崎山幸一さん(44)は、幼少の頃から、紀野さんの指導を受け、高校時代は、形・組手両種目ともに強豪選手として活躍。その後、2000年の「第10回世界空手道選手権」で個人組手70㌔級に日本代表で出場も果たしている。
崎山さんは「30年連続出場は一言で言えば、紀野さんのおかげ」。長年の紀野さんの指導に敬意を表したうえで、「もちろん選手たちの頑張りも併せて達成できたことだが、(全国出場で)燃え尽きて欲しくない」と後輩たちへ激励を送る。
崎山さんは現在、四国の高松中央高校(香川県)の教諭で、空手道部の監督を務めているが、今年のインターハイ・団体組手で高松中央は初優勝を飾った。
指導者としての立場から、また自身の高校時代も振り返りながら、崎山さんは「出場が目標でなく、全国で勝つことを目標にすれば、これからも連続出場は続いていくだろう」とアドバイスを送った。
昨年、徳之島高校空手部のOB・OG会が発足。紀野さんと同じ大学(東京都)の出身で、同大の先輩にあたる林正憲さん(73)=伊仙町出身、さいたま市在住=が「部の支援を」と声を上げた。
林さんは、「(紀野さんが)指導を始めて、全国初出場を決めた時。それ以降も報告を受けてきた。30年連続は、まじめな指導があったから。これまでの子どもたちのがんばりももちろんだが、(紀野さんが)ここまで育てたことが素晴らしい」と喜んでいた。