ドクターヘリ運航1年

奄美群島をカバーする「奄美ドクターヘリ」

ドクターヘリ運航1年②
1年を振り返り会見をする服部センター長

実出動数464件「良い滑り出し」

 

1日平均1・30件、外傷が最多

 

重複対応や連携強化で課題

 

 昨年12月27日に運航を開始した県内2例目のドクターヘリ事業が1年を迎えるにあたり、基地病院・県立大島病院の服部淳一救急救命センター長は20日、同県病院センター室長室で会見を行った。12月19日現在、消防機関から要請を受けた597件のうち、実際に出動したのは464件で1日の平均出動件数は1・30件。ランデブーポイントは1年の運用で14件増の166件となった。服部センター長は「(全国の例と比較し)順調な運航状況をみると、滑り出しは良かった。成功と言えるのでは」と成果を強調した。

 運航日数は、運航開始から12月19日までの358日間。実出動件数のうち、患者を現地収容する現場出動が185件、県本土や沖縄など医療機関に搬送する施設間搬送が256件、出動後キャンセルは23件。不出動の理由として、重複要請、天候不良などを挙げた。

 疾患別では、外傷が19・5%と約2割を占め、続いて脳梗塞などの脳疾患が16・3%、心筋梗塞などの心・大血管疾患が12・4%、心肺停止などのCPAが4・1%と続き、離島ならではの疾患としては、母体搬送やハブ咬傷などがあった。

 このほか、出動要請があった消防組合の件数は、大島地区が381件と最も多く、徳之島109件、沖永良部・与論87件、十島村20件。また、搬送先医療機関は、基地病院(県立大島病院)が292件と全体の6割超を占め、県本土へは37件、沖縄へは60件となった。

 服部センター長は1年目を振り返り「想定を上回る出動回数だった」とした上で、離島やへき地で心配された早期医療の投入については「地域住民の協力や連携があり、ロスを削減できた」と述べた。

 2年目の抱負としては、長距離飛行中における重複案件への対応や、離島やへき地における連携強化などの改善点を挙げ、「総合的に救命できる症例は縦割りを取り除きとりこぼしをなくし、引き続き救急医療の体制の向上に努めたい」と話した。