ユネスコ未来遺産に登録

トウギョの里ビオトープで生き物を調査する参加者ら=知名町、2014年9月=

鹿県で初、絶滅危惧種「トウギョ」保全活動

 

知名町瀬利覚ファングル塾

 

 【沖永良部】絶滅危惧種「トウギョ(タイワンキンギョ)」の保全活動に取り組む知名町瀬利覚集落の「NPOファングル塾(名水のむらジッキョ、自立・創造委員会)」(朝戸武勝代表)が、日本ユネスコ協会連盟の「プロジェクト未来遺産」に登録されることが決まった。鹿児島県では初。来年1~3月にかけて登録地域で登録証伝達式が行われる。

 未来遺産は、地域に根差した文化・自然を守り、後世に伝えようとする団体の活動を支援するもの。2009年に始まり、16年までに62件を登録。17年は、21件の応募の中から、ファングル塾の「子どもと命をつなぐジッキョヌホーのトウギョの里プロジェクト」を含む4件が認定された。

 トウギョは、日本で沖縄本島と沖永良部島のみに分布している。島の水田などに生息していたが、水田の減少で野生ではほとんど見られなくなった。環境省レッドリストで絶滅危惧種ⅠA類に指定されている。

 ファングル塾は、2011年に島の湧水「ジッキョヌホー」の下流部にビオトープを造成し、トウギョの保全活動を行いながら、生き物調査や外来種の駆除などに取り組んでいる。増えたトウギョは、島内小学校や事業所に飼育協力を呼びかけ、これまでにトウギョ300匹以上を譲渡した。

 朝戸代表(72)は「地域の活性化と50年後の孫のために頑張ってきた。未来遺産の登録で活動に弾みがつく」と語った。

 今後、ファングル塾では、現在定期的に開催している野菜市(同塾主催)の売り上げの1%をトウギョの保全に回すほか、繁殖活動を観察するための水槽の導入を計画している。