ポンカン収穫遅れ 寄生のリスク

ポンカン収穫遅れ 寄生のリスク

適正に廃棄されず果樹園に放置されたままの果実

防除徹底へ「残さず処分を」
樹園内への果実放置も注意

ミカンコミバエ種群の緊急防除に伴う買上げ補償単価設定で、奄美市ではポンカンに続きタンカンの果実廃棄処理が進められているが、まだ収穫されていないポンカンも一部で確認されている。ポンカンは収穫期を過ぎており、熟し果皮が軟らかい果実はミカンコミバエが寄生するリスクが高まることから市農林振興課は樹に残したまま放置せず処分を呼び掛けている。

12月13日からの島外移動制限を受けて、奄美市では翌14日からポンカンの廃棄作業を実施。奄美大島では年間約100㌧のポンカンが生産されているとされたが、行政の見通し以上に市場に出ない自家消費分などが多く、奄美市だけでポンカンの廃棄量は約120㌧となった。

ポンカンの収穫期は11~12月の年末。現在、柑橘=かんきつ=類の廃棄処理はタンカンに移行しているが、市農林振興課によるとポンカンで収穫遅れの果実が一部残っているという。同課は「島内消費用として廃棄せず残しているものもあると思うが、年明けに入ってからは収穫遅れの状態で味も劣る。果実の落下も見られ、ミカンコミバエの寄生の対象になりやすい。防除対策を徹底するためにも樹に残さず、ポンカンを適正に処分してほしい」と指摘する。また、廃棄命令に伴う処理を行う上でも生産量の多いタンカンがメインになりつつある中、ポンカンの処理遅れは事務作業にも支障が出るという。

ミカンコミバエのオスはテックス板(誘引物質のメチルオイゲノールと殺虫剤を混ぜた木材繊維板)により誘殺されているものの、メスは冬場でも活動しており果実に卵を産み付け、その中に幼虫が存在する。ただし蛹=さなぎ=から成虫になる羽化は春以降とされている。こうしたメスの活動を抑え込むためにも果実の放置に注意しなければならない。

農林水産省では、ミカンコミバエの寄生リスクを回避するため果実の適正な廃棄を呼び掛けている。▽ビニール袋に密閉して生ゴミとして▽未収穫物や残渣については、そのまま果樹園などに放置せずビニール袋に密閉―を挙げており、生産農家や住民の取り組みの徹底が求められそう。