日頃の訓練成果発揮

ロープを使い、要救助者を岸壁側へ運ぶ訓練を行った

緊急通報番号適正利用呼びかけも

 

巡視船「あまぎ」

 

 奄美海上保安部は8日、奄美市名瀬長浜町の名瀬港観光船バースで、巡視船「あまぎ」の年頭訓練を行った。雨天の中集まった約50人の市民らの前で、日頃の訓練の成果を見せつけた。

 同巡視船の公開訓練は日頃の訓練内容を広く市民に知ってもらうことで、海保に対する市民に理解や安心感の向上などにつなげようと実施している。この日は潜水士を含む乗組員や同海保職員ら約30人が参加。同巡視船を座礁船に見立て、取り残された乗組員を救助するという設定で行った。岸壁からロープを射出するもやい銃を発射。船のマスト部分にロープを連結し、乗船した潜水士と岸壁側の海保部員が協力し、船から陸上へとロープを活用した救助を行った。

 これに続いて行われた、潜水士による訓練では、約8㍍の高さからロープを用いて海面へ降下する訓練と、飛び込みがあった。命綱なしでの飛び込みには参加した市民らからの歓声が上がった。

 訓練終了後には空気ボンベの重さを体感するために背負う体験や、ウェットスーツの着用、顔を水につけた状態での水中呼吸体験など、潜水士の仕事の一端を知ることが出来る体験プログラムを実施。水中呼吸に挑戦した赤徳中3年の實川進之助君(15)は「訓練を見て、自分にはできないようなことをして守ってくれる人がいるおかげで海を楽しめるのだと感じた。水中呼吸は意外と簡単だったが、とても新鮮だった」と語った。

 このほかにも大島地区消防組合や奄美署と連携した「110番、118番、119番」の適正利用の呼びかけもあった。パトカーや白バイ、消防車などに子どもたちは盛り上がり、雨天にもかかわらず我先にと体験乗車を楽しむ様子が見られた。

 今回の訓練に関して原敦船長は「事件や事故はいつ起こるかわからない。巡視船としてはどんな状況下でも救助が出来るようにレベルを上げていかなければいけない。雨の中でも多くの市民に来ていただき理解を深めてもらった。今後も訓練を重ねていきたい」と語った。

 巡視船「あまぎ」は2013年12月に同海保へ配備。全長89㍍、総トン数1300㌧。機関砲や複合型ゴムボートを3隻装備するほか、船尾甲板部はヘリコプターの離発着が可能となっている。