伝統の香味漂う「ふり茶」実演・茶会

伝統の泡茶「ふり茶」文化でもてなした平陽子さん(左)ら=9日、県徳之島事務所

ふり茶、手づくりお菓子
伝統の手作りお菓子「インギュムィ」なども関心を集めた

県徳之島事務所

 

「あまちゃん広場」、味覚と心伝える

 

 【徳之島】県大島支庁徳之島事務所(瀬戸口寛所長)職員を対象に9日、同島古来の庶民の茶文化「ふり茶」=伊仙町指定民俗文化財=の実演・茶会が同会議室であった。伝承・普及に取り組む同町阿権の「あまちゃん広場」(平陽子代表)の仲間たちが、真心を込めて丹念に泡立てた「ふり茶」と伝統の手作り菓子で、その味覚と心を伝えた。

 「ふり茶」(方言呼称・ふぃーちゃ)は沖縄では「ぶくぶく茶」とも。玄米茶を急須に入れてお湯を注いで10~15分間待って茶おけへ。竹枝製の茶せんできめの細かい泡が立つまで丹念にかき混ぜて湯のみに注ぐ。同町では、長寿世界一だった泉重千代さんや北郷かまとさんもミネラル分が豊富で硬度の高い地元の水を使って愛飲していたという。

 県徳之島事務所の同茶会は、職員たちが同島古来のふり茶文化に親しむのが目的で3年ぶり2回目の開催。全体の9割以上約80人が参加した。

 平代表(67)は解説の中で「ふり茶は、徳之島町ではフイ茶、沖縄ではぶくぶく茶。阿権集落では原料の緑茶を戦前まで栽培し、戦中の転作強制や戦後の食糧難で自然に無くなったのではないかと思われる」。泡茶を飲むだけでなく「一種のトギ(慰め)にもなっていたらしい」との説も資料で紹介。そして「今ではふり茶を知らない人が多く、伝承の必要性を強く感じる。服装も自由、いつでもどこでも楽しめる親睦のお茶として次世代に引き継ぎたい」とアピールした。

 職員たちは、サツマイモを蒸してはったい粉や黒糖を混ぜて作るお菓子「インギュムィ」などとともに、香ばしく優しく泡立ったふり茶を試飲。「おいしかった。手間は掛かるが、遊び心を持って茶会を楽しんでいる感じ。お菓子も初めて見たが、甘すぎずにとてもおいしかった」など感想を語った。