実践講座スタート

奄美らしさを生かしたおもてなしに関するセミナーが開かれ、外国観光客を呼び込む可能性を探った

「奄美らしさでもてなしを」

 

国別観光客の傾向探る

 

地域性で異なる旅行目的

 

 海外からの訪日客(インバウンド)を対象にしたおもてなしに関するセミナーが8日、奄美市名瀬の宿泊施設であった。台湾、香港など中華圏や韓国、東南アジアを中心に、日本を訪れる観光客の増加傾向が続いているなか、国籍など地域性によって異なる旅行目的など重視されるポイントも参考に、参加者らは奄美らしさを生かしたおもてなしの可能性を探った。

 セミナーは、奄美市の実践型雇用創造事業(事業実施主体・奄美産業活性化協議会)の一環。全4回にわたり、外国観光客への接遇や英会話を使った接客など実践的なスキルを身に付けることなどを目指す。

 同日の第1日目には、20人が参加。一般社団法人東北インアウトバウンド連合副理事長で、㈱ライフブリッジ(宮城県仙台市)の櫻井亮太郎代表取締役が講師を務めた。

 国別観光客の傾向や対策について解説されたほか、旅行口コミサイトやSNS、動画サイトを活用した発信、地方における取り組み事例なども紹介。奄美の豊かな自然、文化を生かした外国人観光客の呼び込みに期待が込められた。

 2016年鹿児島県への来訪が1番多かった台湾人は、年代では30代以下が全体の6割を占め、リピーターも多い。中国人は20~40代が大半で、買い物が主な目的。タイ人は、国の旧正月にあたる4月が訪日のピークで、日本同様に走行が左車線であることも手伝い、レンタカー利用が多い―など地域別の特徴が説明された。

 また、同年に県来訪した国籍別の宿泊客数(43万人)で、約7割を占めた中華圏(台湾、中国、香港)の客に対して、同圏の人が嫌う国籍などの認識間違いに注意し、メニュー表を作る場合の表記文字(中国は簡体字、台湾・香港は繁体字)についての指摘もあった。

 購買意思決定に影響を与えるインフルエンサー(影響力が大きい行動を行う人)や、SNSや口コミサイトを利用した発信効果を解説。「自社(お店など)のFB(フェイスブック)ページでは定期的・持続的な情報発信を多言語化して」、「入店者にサービス(例・ドリンク1杯無料など)したうえで、口コミサイトに書き込みしてもらう工夫も」などとアドバイス。

 また、宮城県の蔵王きつね村や岐阜県の飛騨里山サイクリング、秋田県でのマタギトレッキングに触れ、その地ならではの体験活動や農業などと観光をシンクロさせた取り組みについても言及し、地域性のほか、趣味性で呼び込むターゲットを考える有効性なども示された。

 後半は、グループに分かれ、4時間以内とするなどの条件で、ターゲット層を絞った着地型ツアーを話し合い。八月踊りや農作物収穫体験が行えたり、特産物が買えるお店を回ったり、サトウキビ畑付近の農道をドライブする―など様々なコース案を発表し合った。