弾道ミサイルの発射・飛来を想定した避難訓練に協力した住民たち=10日午後2時すぎ、徳之島町役場前
屋内避難して頭部を守る行動を取った住民たち(徳之島町役場ロビー)
【徳之島】北朝鮮情勢を踏まえ、弾道ミサイルの発射・飛来を想定した内閣官房・消防庁・鹿児島県・徳之島町主催の住民避難訓練が10日、同町亀津地区であった。住民約100人に関係機関合わせ約160人が参加。全国瞬時警報システム「Jアラート」放送の不明瞭さなど課題も露呈させたが、同情報伝達による迅速な屋内避難など身を守る行動に意識を高め合った。国と地方自治体の共同訓練は全国離島および県内でも初。
国が関与・連携した同避難訓練は全国で26回目。全国離島初となった今回は、内閣府の指針に沿う形で徳之島町が手を挙げ誘致開催。訓練対象地区は亀津中区、南区市街地。
訓練は「X国から弾道ミサイルが発射され、わが国に飛来する可能性があると判明」したと想定、午後2時にスタート。町防災行政無線を通じで国民保護のJアラート(サイレン音とミサイル発射情報・避難呼び掛け)を訓練放送。次ぐ「直ちに避難」の呼びかけで、亀津児童公園にいた住民たちは近くの町役場庁舎内へ。スーパーの買い物客らは県徳之島事務所庁舎へ。園庭の幼稚園児たちは施設内へ。亀津漁港では漁船操業中を想定した漁業者たちもそれぞれ協力。「先ほどのミサイルは破壊(迎撃)」の放送まで約15分間行われた。
この後、協力住民たちを交え同町生涯学習センターで国が講評。末永洋之内閣参事官=内閣官房副長官補(事態対処・危機管理担当)付=は「爆風や破片から身を守る行動が大事。間に合わない場合は物陰に、屋内では窓のない部屋へ」など、弾道ミサイル落下時の行動①速やかな避難行動②正確かつ迅速な情報収集―などをあらためて強調した。
訓練に参加協力した亀津中区の福山武雄さん(81)は「いつどこに(飛来して)来るか分からない。丈夫なコンクリートの建物や地下とかへの避難方法を広く住民に知らせる必要がある。(北朝鮮の)ミサイル発射実験は相当に費用が掛かり、無駄だと思う。この平和な世の中が続いて欲しい」。孫を抱いて参加した亀津中区の西川三枝子区長(59)は「サイレンが不気味。(Jアラート)警報の放送が何を言っているのか分からなかった。実際問題として、地下も少なくもちろんシェルターもない、核弾頭の場合はどうするのか。拉致問題は解決して戦争だけはしないでほしい。地震・津波の訓練に比べ、こんな訓練はしたくない」などと話した。