群島成長戦略推進懇

成長戦略ビジョンの一部改訂案などを協議した第8回奄美群島成長戦略推進懇話会

ビジョン一部改訂協議

 

大学誘致 要望意見も

 

 奄美群島成長戦略ビジョンに提言を行う奄美群島成長戦略推進懇話会(座長・原口泉志學館大学教授)は11日、奄美市名瀬末広町のAiAiひろばで第8回会合を開いた。奄美群島を取り巻く社会情勢の変化を勘案し、2018年度末の次期奄振法改正を見据えた奄美群島成長戦略ビジョンの一部改訂などについて協議を行い、来月の奄美群島市町村長会への提言としてまとめるという。

 同懇話会はビジョンを策定する奄美の12市町村への提言を行う組織で、過去7回にわたり開催。16年11月、奄美群島を取り巻く社会情勢の変化に対応するためビジョンの一部改訂に関する提言を実施し、今年度改訂作業が行われて来ている。

 今回の第8回懇話会では、昨年6月と12月に実施された各島分科会の検討状況を踏まえビジョンの一部改訂案を協議。分科会での意見をまとめた資料や、ビジョンの新旧対照表などを基にして「奄美群島成長戦略推進懇話会提言(案)」(座長私案)について意見などが交わされた。

 改訂箇所はビジョン第6章の「ビジョンの実現に向けて」が対象。事務局の奄美群島広域事務組合は「訂正は字句の修正、時系列の変化によるもの。行政職員の人材育成および人材ネットワークの活用は、今回から新たに追加した項目」などと説明した。

 提言案の特区創設に関連した項目では、分科会の意見から民泊推進区域の設定や、情報通信産業に対する税制優遇措置を追加。また奄美群島振興開発基金について、安定的な存続とビジョン実現に向けた融資条件優遇や限度額見直しの制度拡充も盛り込まれた。

 懇話会に出席した委員からは、人材不足を懸念し大学などの高等教育機関誘致を要望する意見も。原口座長も「ビジョンに最初から、教育を入れておくべきだったのではないか」と賛意を見せた。

 国土交通省国土政策局の山本知孝特別地域振興官は、成長戦略ビジョンを10年スパンでみていることを評価。「ビジョン策定から5年が経過。各島の分科会をせっかくやっているので、戦略の基本方策も見直していいのではないか」と指摘した。

 原口座長は「今年は奄美の良さを世界にも知ってもらえる年になるだろう。協議で出された意見を踏まえ、国県と調整し固めたものを最終版としたい」と述べた。

 懇話会での提言をとりまとめ、2月27日の奄美群島市町村長会でビジョン一部改訂を決定。18年度末の次期奄振法改正に向け、各島分科会で地元の議論などが進められるという。