西古見にクルーズ船寄港誘致

瀬戸内町が大型クルーズ船の誘致を検討する池堂を含む西古見集落

瀬戸内町 県に要望書提出

 

「活性化つながれば」

 

 国土交通省が昨年8月に公表したクルーズ船寄港地開発に関する調査結果を受け、瀬戸内町はこのほど、大型クルーズ船寄港地誘致に伴う支援を求める要望書を三反園訓県知事に提出した。同町西古見集落の池堂地区を候補地としており、クルーズ船寄港を生かした地域創生を目的としている。同町は「自然環境に配慮した、他のモデルとなる計画を国・県・町で構築していきたい」としている。

 国交省は2017年8月14日に「島嶼部における大型クルーズ船の寄港地開発に関する調査」の結果を発表。寄港候補地の条件は水深や環境への影響の少なさ、周辺の観光資源の有無などの6項目。条件を満たした寄港候補地として奄美大島と徳之島で9地区が、このうち瀬戸内町では池堂、薩川湾、瀬戸崎の3地区が候補地として挙げられた。

 同町は07年から大島海峡の観光利用を念頭に、クルーズ船の呼び込みを計画。15年7月からは古仁屋港内に大型クルーズ船の寄港が可能な施設設置する構想を練り、情報収集などを進めていた。

 発表を受け、同省の挙げた候補地のうち、年間を通して海況が穏やかで、開発が容易な池堂地区を寄港候補地として検討。17年8月と9月に西古見集落(29世帯36人)の住民に対して説明会を実施し、ほとんどの住民の賛同を得て、同年12月19日に要望書を提出し、国、県の支援と協力を求めた。

 同町担当者は「クルーズ船誘致は外貨獲得、周辺のインフラ整備のみならず、医療・福祉、教育などの様々な分野の政策につながる。地場産品の消費地ができる上に、海外で発信してもらえる良い場所にもなるだろう」と幅広いメリットを語る一方で、「情報不足が一番の不安。国・県・町・地域住民による丁寧な話し合いを進める必要がある」と今後の課題も口にした。

 候補地となった西古見集落の茂節子区長(73)は「多くの人が訪れることで、西古見にUターンの若者が戻り、活性化につながれば」と期待を話すが、「集落に大勢の観光客が訪れるというイメージがわかない」ともこぼした。

 また、県観光課は「クルーズ船誘致に関する要望は奄美群島の市町村では初めて。クルーズ船寄港はインバウンド増加に有効で、県の観光誘致にとってもメリットが多い」とした。